第二新卒のキャリアアップ転職成功のために参考にしたい失敗例&TODOリスト

スーツ姿の女性 転職の知識

第二新卒キャリアアップ転職における成功とは、“転職によってキャリアアップを実現すること”の一点です。

シンプルなことですが、第二新卒で初めての転職を検討中の方は、自分にとってのキャリアアップとは何なのか、を理解せずにスタートしてしまう方も多くいます。

当記事では、キャリアアップの意味、キャリアアップ転職のToDoリスト、失敗しやすいポイントなど、一連の流れについて網羅的にお話ししていきます。

第二新卒のキャリアアップ転職とは?

「キャリアアップ講座」と書かれた資料を持っている男性

キャリアアップとは、特定の分野でより専門的な知識や技術を身につけること、経歴を高くすることなどを指します。また、会社における自身の立場を高める、高給を目指すといった目的での転職もキャリアアップに含まれます。

例)

  • 制作だけでなく、企画から携われる立場になりたい
  • 同業種のマネージャー職へ転職し年収アップを目指したい
  • プロジェクトの統括を担当して、仕事の幅を広げたい

この記事に行き着いた方の多くは、キャリアアップのために転職を検討しているはずですが、キャリアアップを他のワードと混同してしまっていないか確認しておきましょう。

「キャリアアップ」「キャリアチェンジ」「スキルアップ」の違いとは

キャリアアップの話題で頻繁に見かけるワードとして「キャリアチェンジ」「スキルアップ」などがあります。似ている印象がありますが、実際はそれぞれ全く違った意味を持っています。

キャリアアップ…立場や役職、待遇などを向上させる
キャリアチェンジ…未経験の業種・職種に転職する
スキルアップ…技術力や能力を向上させる

第二新卒の転職で年収アップした場合の相場はどのくらい?

株式会社ワークポートが同社を通じて転職した337名を対象に「転職前後の年収の変化」について調査をしたところ、52%の方が「年収がアップした」と回答しています。その他、「年収が下がった」が46%、「年収が変わらなかった」がたった2%となっています。

ほぼ半数が年収ダウンという結果になっていることについては、(調査対象の全員が年収アップを目指していたわけではないという前提はあるものの)転職理由が年収アップの方にとって注目して頂きたいポイントでもあります。

 未経験・第二新卒は「約41万円アップ」という結果も

転職後の年収増減者比率のグラフ

(参考:https://www.workport.co.jp/plus/articles/2082)

同調査によると、職種・分野別の年収増減額(年収の上がり幅)で最も数字を伸ばしたのは「未経験・第二新卒(※)」の約41万円アップです。

逆に「営業系」では約49万円ダウンという数字が出ており、特に慎重に転職先を選ぶべき職種があることも見えてきます。営業系は給与体系によって大きく差が出ることがあるため、これだけ大きな数字が出たのかもしれません。

年収増減平均額のグラフ

(参考:https://www.workport.co.jp/plus/articles/2082)

(※)本調査における「未経験・第二新卒」…29歳以下の非正規雇用から正規雇用になった人及び正社員経験者

初めての転職は年収が上がりやすい?

最も年収増減額が大きかった「未経験・第二新卒」のうち、第二新卒の定義は、以下の通りです。

  • 新卒で入社して数年内
  • 転職経験がない
  • 年齢は(上記の条件から)20代半ばほど

(引用:「第二新卒で職務経歴を盛る・嘘はバレる?リスクと「盛らない」面接対策」)

第二新卒で職務経歴を盛る・嘘はバレる?リスクと「盛らない」面接対策

未経験への転職も含め、社会人経験やスキルともに未熟であるはずの転職者が、大幅な年収アップを成功させているという結果に驚いた方もいることでしょう。

転職経験が無い、同業種での経験が無いなど、一見不利な条件下にあるように見える人材が最もキャリアアップ転職を(年収アップという点で)成功させていることから、はじめての転職こそキャリアアップのチャンスであることが伺えます。

なぜ後悔の声が多い?第二新卒のキャリアアップ転職に多いリアルな失敗例

デスクで頭を抱えている女性

キャリアアップの成功例があれば、もちろん失敗例も多く存在します。

先ほどは年収アップのみに絞った調査データを紹介しましたが、皆さんのキャリアアップ転職の目的は様々なはずです。目的を確実に達成するためにも、先輩達の失敗例から対策を考えていきましょう。

【第二新卒のキャリアアップ転職失敗例①】希望年収を妥協したら苦しくなった

「DTPデザイナーとして食品関係の折込みチラシ制作を2年間経験した後、仕事内容を広げたいと思い転職。食品メーカーや大手グループのパンフレット制作を撮影現場から携われることに興味を持ち、AD職を目指すべく入社した。

しかし、AD就任後の業務の重さに対して年収の上がり幅が少なく、制作部署の評価制度が厳しすぎることから行き詰まりを感じている。」

業種・職種によっては、職務内容の重さと待遇がどうしてもアンバランスになるケースが発生します。

“やりがい”と“年収アップ”など、多くの条件を叶えることは難しいですが、あまりに度外視すると入社後に苦しむことになるので、妥協点こそ時間をかけて検討すべきでしょう。もしくは、妥協した条件を“何で補うか”まで計画しておくことをお勧めします。

【第二新卒のキャリアアップ転職失敗例②】転職後も似たような仕事ばかりだった

上司と話している若い男性
「IT企業でHP制作を3年経験し、顧客と直接やり取りをできる立場になりたいと考え、WEBディレクション業務で募集を出していた企業に転職したが、入社後に後悔した。

確かに企画段階から顧客とやり取りできたりするもののその機会はごく少数で、実際は発注業務や社外への連絡と社内報告に大きく時間を取られた。実作業と報告に追われる状態では、前職とやっていることが同じばかりか、メインの制作業務さえもおろそかになって最悪の状況。

自分も面接で確認をせず、名ばかりの役職であることに気づけなかったことに反省。」

新卒採用の場合は社会人経験ゼロからのスタートという共通認識がありますし、役職がつくこともないので募集内容もシンプルですよね。

キャリアアップ転職の場合は企業の募集内容も応募者の希望条件も細かく明確になるため、求人に記載されている役職名と、自身の(役職名に対する)認識とのギャップで苦しむケースは意外と多いようです。

転職時の面接は新卒の面接ほどテンプレ化しておらず質問時間も多くなる傾向があるので、職務内容などについては擦り合わせをするような姿勢でたくさん質問しておきましょう。

【第二新卒のキャリアアップ転職失敗例③】求人内容とは違う職務を任された

「大手企業に営業として就職したが、先輩や上司が辞めない限り出世できない組織体系にがっかりして転職を決意した。

転職の目的は“年収アップ”と“マネジメントを経験できる環境”の2点。自身の営業成績が良かったことは自覚しており、その数字などを自己PRとして、営業部内で新人教育などの枠を作る予定があるという起業3年目ほどの若い会社に入社。

少人数なのでキャリアパスが描きやすいと思っていたのに、逆に少人数ゆえの欠員の痛手に社内全体が振り回されていた。事務がやめたから一時的に兼任してほしい、新卒採用は見送って中途採用に切り替えたからその人のサポートに回って欲しいなど、入社前の話と違いすぎる職務内容にがっかりした。」

規模がまったく違う会社に転職した際に起こりやすい失敗の一例と言えます。

少人数規模の企業の場合は経験や年齢に関わらず活躍の機会が与えられる一方で、社内で起きた変化が強く影響してくることも特徴です。

明確なキャリアビジョン・キャリアパスに沿って行動している方は、それらを採用側に伝わるよう注意する必要がありますが、伝わっていても不測の事態は起こり得ます。

【第二新卒のキャリアアップ転職失敗例④】実際は「環境を変えたい」だけだった

デスクの荷物を整理している若い男性

「とにかく社内コミュニケーションに重きを置く社風に馴染めず、社交的で主張の強い同期ばかりが優遇される環境に限界を感じて、給与アップをモチベーションに転職活動を始めた。

同業種で高給だった企業に入社したところ、待遇に不満は無いが、今度は前の職場の方が楽だったような気がしてきて、また転職をしたいと思うようになった。

自分ではキャリアアップ転職のつもりだったが、入社後の目標があるわけでもなく…どの会社に行っても退職したくなるのか、そもそも自分は何が不満なのか、と考え始めると自信が無くなった。」

このケースの問題は“前職を辞めた”という点ではなく、それを無理矢理“キャリアアップ転職に軌道修正した”ことで、入社後のモチベーションが保てなかったことにあります。

自身のキャリアプランを整理しないままに転職先を決めてしまうと、せっかく良い企業とご縁があっても取り止めのない不満や後悔に駆られる状態になります。

退職理由と転職理由をごちゃ混ぜにせず、現状を理解した上で自身のキャリアプランを考えて見ましょう。

【第二新卒のキャリアアップ転職失敗例⑤】転職活動が長引き、やる気がダウン

「友人から転職の失敗談をたくさん聞いていたこともあり、かなり慎重に転職活動を進めていた。企業リサーチを丁寧に行ったり、人脈を広げるために転職関連のセミナーにも多く通ったりなど、精力的に動いていた中で希望条件がぴったりのまさに理想の求人を発見し、応募した。

そこは書類選考の時点で落ちてしまい、一気にモチベーションが下がった。かなり慎重に動いていた分、ショックも大きく、そのまま現職の繁忙期を迎えて転職活動自体をストップしてしまう結果になった。」

情報収集能力の高い方が陥りやすい失敗例です。

転職活動の最も重要な土台である、企業リサーチなどは完璧であるにも関わらず、入念な準備期間で視野が狭くなり、第一希望の企業が上手くいかなかった際に転職活動自体を挫折してしまうパターンです。

また、働きながらの転職活動は長期戦になりやすく、心身ともに消耗していきます。転職エージェントなど、サポートや客観的視点を提供してくれる存在を利用するのも1つの方法です。

第二新卒のキャリアアップ転職を成功させるためのTO DOリスト

壁に貼られた付箋を見つめる女性

先ほどご紹介した失敗例のまとめも兼ねて、キャリアアップ転職で必ずやっておくべきことを順番にお話していきます。

転職には「キャリアプラン」が必要

キャリアプランとは、自分が仕事を通して目指す人物像、またその過程で必要なモノ、コトなどを明確にしたものです。キャリアプランがはっきりしていれば、以降のTO DOリストを実行する時もスムーズですよ。

キャリアプランの意味、考え方、話し方などに次いては以下の記事でお話ししているので、ぜひ目を通してみてくださいね。

キャリアアップ転職の面接対策のポイント

キャリアアップ転職では、以下のような点を意識して面接の準備をすることをおすすめします。

  • キャリアアップという単語は使わない方がベター
  • 職務経歴のレイアウトを工夫
  • 客観的な自己分析はマスト

面接官からの質問に対して「キャリアアップのため」という回答は極力控えるようにしましょう。自身にとっては転職理由を一言で表現できる便利なワードではありますが、“何を持ってしてキャリアアップなのか”という点で、認識の相違が生まれやすくなってしまうためです。

また、キャリアアップを目的とした転職の場合は、スキルや戦力レベルを伝える職務経歴書が特に重要になります。相手に“読まれる書類”を作成する、という点もしっかり意識しておきましょう。

キャリアアップが実現できる会社の探し方

キャリアアップ転職で重要なのは、自分が望むキャリアプランを実現することができる転職先を見つけることです。

例えば、仕事の幅を広げたい(裁量権を持ちたい)という場合は、年齢に関係なくチャンスが巡ってくる中小企業やベンチャー企業、外資系企業などがいいかもしれません。

一方で、年功序列型の企業では職務内容がころころ変更されることはあまりないので、特定の分野で役職に就きたい、さらにスキルを高めたいという方には良い環境です。

社内でキャリアアップを目指すという選択肢も必ず検討!

「現在の職場でのキャリアアップは考えない」と決め込んだ状態でのキャリアアップ転職は注意が必要、という点は改めて強調させていただきます。

もちろん現職で色々試行錯誤した上で行き詰まりを感じている分には、転職一択となるのも無理はありません。

しかし、「とにかく現職を離れたい」という退職理由で、「キャリアアップは次の会社で目指そう」と考えてしまう状態では、自分の希望条件がブレやすいため、キャリアアップ転職が失敗しやすくなるのでおすすめできません。

当てはまる方は、自身の退職理由から見直してみてください。

社内でのキャリアアップのファーストアクションとしては、以下のようなものが挙げられます。

  • 実績の可視化(文章よりグラフが効果的)
  • 直属の上司と面談
  • 資格の取得と活用方法の提案

まとめ

屋外で電話しているスーツ姿の若い男性

「キャリアアップを目指して転職します!」と言えば聞こえは良いですが、“何を実現したいのか”や“そのために何をやってきたのか(する予定なのか)”など、キャリアプランの土台を気づいていないと後悔する結果になるかもしれません。キャリアアップ転職の成功の鍵は、その準備期間にあると言えます。