これまで、第二新卒は「早期退職者」として採用側からは避けられる傾向がありましたが、その状況がここ数年で大きく変わり、今では「若手有力人材」として積極的に採用する企業も増えています。
この記事では、転職を考えている第二新卒の皆さんが、より有利に転職活動を進めるために大切な「時期」と「準備期間にやるべきこと」、強力なサポーターである「転職エージェント」の選び方を解説します。
この記事の目次
第二新卒とは?
第二新卒と呼ばれる時期はいつまで?
最初に、第二新卒と呼ばれる時期の目安をご説明します。第二新卒に明確な定義はありませんが、ジョブアピでは、第二新卒と呼ばれる時期は以下の条件を目安にしています。
ある助成金制度では適用の対象(第二新卒)を「3年以内」と明確に定めているため、企業によっては学校卒業または中退後の年数に期限を設けている場合もあります。逆に言えば、助成金制度と関わっていない採用であれば多少年数が前後していても第二新卒として認識される可能性も高いことになります。
第二新卒と既卒の違いは何?
既卒は卒業1〜3年ほど(25歳前後)という点では第二新卒と一緒です。しかし、“社会人経験がない”という条件が含まれていることもあるため留意しておきましょう。
採用側も「第二新卒」と「既卒」を混同しているケースが多いため、表記が曖昧な際は採用側に直接訪ねるのもひとつの方法です。
今、第二新卒の転職が成功しやすい理由とは?
第二新卒の転職が成功しやすい理由は、大きくわけて2つです。
ひとつは、2015年に経団連が示した指針によって大手企業の新卒採用活動の期間が大幅に制限されたこと。もうひとつが、売り手市場化による内定辞退の増加です。
もう少し詳しく状況を見てみると、第二新卒が有利に転職活動するための時期も見えてきます。
第二新卒の転職に好影響?経団連の「採用選考に関する指針」
2015年12月に、主に大手企業などが加盟している経団連(日本経済団体連合会)が「採用選考に関する指針」という新卒採用活動のルールを示しました。
具体的には、2017年度入社予定の新卒採用から「広報活動を卒業・修了年度の直前の3月1日以降、選考は卒業・修了年度の6月1日以降」と企業側が採用活動をスタートさせる時期を決めたものです。
つまり、4年制大学卒業予定の学生から見ると、採用サイトのオープンや合同説明会は「3年生の3月1日以降」、エントリーシートの選考や面接は「4年生の6月1日以降」となり、それまでよりも時期がかなり遅めになりました。
少子化や働き方の多様化によって激化した企業の「新卒採用合戦」で、学業そっちのけで選考に参加せざるを得なかった状況を改善するための措置ですが、実は、このルールが第二新卒の転職にも大きな変化をもたらしました。
第二新卒は転職で大手に入りやすい?企業が新卒採用で失敗するケース
これまで、3年生のうちから面接を始めて1年弱という長期にわたって新卒採用活動をしてきた企業側は、このルールによって短期決戦で新卒を取り合わなくてはいけなくなりました。そのため、予定数の新卒が採用しきれない企業が続出しています。
どの企業も、「採用予定人数」を決めており、これを下回ると経営計画にずれが生じてしまいます。
そこで白羽の矢を立てられたのが、第二新卒。
まだ他の企業に染まりきっていないフレッシュ人材でありながら、社会における基本的なマナーを身に着けている第二新卒は最高のターゲットです。
新卒の内定辞退が増加「第二新卒」を補填の人材として採用!
少子高齢化や景気の回復によって、いま、新卒の就職市場はバブル期を上回るほどの「超売り手市場」です。
また、魅力的なベンチャー、スタートアップ企業が増えたことで大手の新卒内定者であっても内定辞退が続出しています。
すでに内定者研修が始まっている時期なので、新たに新卒を探しても足並みが揃いません。そこで、すでに社会経験を積んでいる第二新卒に企業が熱視線を送っているのです。
第二新卒の転職(採用)で助成金がでる?企業を後押しする制度も
第二新卒を新卒枠として雇用した際に国から助成金が出る場合もあり、この制度によって第二新卒の採用が活発になっている側面もあります。
この制度の活用を考えている企業を志望している場合は、先ほども軽くお話ししたように“適用される条件”が発生するため、採用の対象者が多少限定されます。
なぜ第二新卒の採用で助成金がでるのか
助成金制度は、若年層の完全離職率が高まっている問題に対して設けられた措置です。具体的には、三年以内に学校を卒業し、かつ「既卒者等コース(助成金コース名)」の適用条件を満たした人材を新卒として採用した場合、入社後一年定着した際に50万円(※)、二年定着後は10万、三年定着後にさらに10万と支給されます。流れからもわかるように、若年層の採用と職場への定着に対して支給されるものです。
(※)例に挙げた金額は対象者や会社の規模によっても変動します。
第二新卒は助成金目的の採用を警戒すべきか
この制度を耳にして、中には「助成金目的の採用もあるのではないか?」という不安を感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか。助成金目的の採用枠にあたってしまった場合、人材教育がおろそかであったり、単調な業務しか任されない環境であったりするのではないか、と考えてしまいますよね。
近年キャリアアップの選択肢として積極的に転職を考える人材が増加傾向にあること、仮に助成金が支給されたとしても数十万ほどであることを考えると、助成金はさほど直接的な利益にならないことが予想できます。
この制度の活用に積極的だからという理由だけで志望先から除いてしまうのはおすすめできません。
あくまで企業リサーチを行なった上で、総合的に見て判断するべきでしょう。
第二新卒の転職者がが企業に求められるスキルとは
第二新卒の採用が活発になっている背景については採用側のお話が続きましたが、ここからは応募者の皆さんが転職に向けてやるべきことや、狙うべき時期などについて説明していきます。
まずは企業が第二新卒に求めるスキル(技術・能力)です。
- コミュニケーション能力(コミュニケーション能力)
- 自発的かつ主体的に考え動ける能力(行動力・思考能力)
- 変化に応じた思考や行動ができる能力(適応能力)
- 一定の業務処理能力(PCスキルなど)
第二新卒は「新卒採用や退職者の欠員補充」という点で即戦力を求めていますが、高度なスキルを期待しているケースは少ないでしょう。どちらかというと、社会人経験があり、研修などゼロからの教育を必要としないことが最低条件といえます。もちろん専門性の高いスキルを求めている中途採用も多く存在しますが、その場合は必要スキルや実務経験の有無といった具体的な条件が記載されているはずです。
第二新卒が「転職は厳しい」と感じるのはなぜ?よくある失敗事例
第二新卒の転職市場の話を聞いても、「私(俺)はうまくいかなかった!」と自身や知人の経験から疑問を感じている方も多いのではないでしょうか。第二新卒が売り手市場となっているのは事実ですが、現在働いていたり逆にブランクがあったりする分、第二新卒特有の就活の難しさと直面するシーンは多々あります。第二新卒の転職を成功させるには、以下のようなポイントを見直して失敗癖をつけないようにしましょう。
第二新卒は転職のモチベーション維持が大変
退職する前に転職を決めたいと考えている第二新卒の場合、現職での仕事と転職活動の両立で非常に体力を使うことになります。すぐに生活に困ることもないので、仕事との兼ね合いによっては気になる求人を立て続けに見送ってしまうケースもあるようです。
第二新卒は「自己分析」で苦しみやすい
第二新卒は自己分析で悩むケースが多く、必要以上に自分を過小評価する傾向があります。なかでも多く見かけるのは、「社会人経験の短さ」や「資格・スキルなどのPRポイントの少なさ」などに強くコンプレックスを感じている例です。コンプレックスから応募書類の作成にとても長い時間がかかり、そのまま応募に至らなかったという声も多くありますが、とても勿体無い例です。
また、企業は自己分析から、応募者が自分のことを客観視できているかという点を判断します。そのため自分のことを必要以上に過小評価あるいは過大評価をしていた場合には、“客観的に判断する能力”がまだ未発達であるととられてしまうので注意が必要です。
第二新卒は転職活動を始める時期が難しい
新卒採用はある程度時期が決まっているため、説明会をはじめ求人のタイミングや応募期間などもテンポがつかみやすいですよね。一方、第二新卒を含めた中途採用は募集の時期もバラバラで、自分自身が動かない限り転職の情報も耳に入りにくい環境です。情報収集を片手間にしかできない期間では、なかなか希望の条件の求人とも出会えないため、重い腰が上がらないという方もいます。
第二新卒が狙うべき転職の時期については、次の章で詳しくお話ししていきます。
第二新卒が転職を成功させるために“今すぐやるべきこと”リスト
転職を成功させるためにやるべきこと、また失敗例のような事態を避けるために取り組むねきことについてお話ししていきます。
第二新卒の転職成功のコツ① 転職までのスケジュールを考える(辞める時期・就活の時期など)
転職のスケジュールは「入社を目指す時期」から逆算して計画するとスムーズです。働きながら転職活動をする方の場合は、引き継ぎの期間や有休消化のために1ヶ月ほど余裕を持って目標を設定しましょう。
第二新卒の転職は「辞めてから」?それとも「在職中」?
結論から言うと、在職中に転職活動をはじめることをおすすめします。第二新卒が転職活動を「在職中に行うか」、「離職後に行うか」で各デメリットを比較した場合、前者のデメリットはカバーする方法が存在するためです。詳しくはこちらの記事でお話ししております。
第二新卒にとって有利な転職時期はズバリ「1月〜3月」「4月〜6月」
最初に、第二新卒が転職しやすい環境があることはお分かりいただけたと思います。
では、さらに有利にすすめるためには「いつ」転職活動を始めるのがいいのでしょうか。それはズバリ「1月〜3月」と「4月〜6月」です。
採用予定数を確保するための1月〜3月
経団連の指針(ルール)によって新卒の採用期間が短く制限され、予定通りの新卒採用がうまくいかず、第二新卒を欲しがる企業が増えていることはすでに説明しました。
この「採用予定数の確保」のための選考を受けるためには、1月〜3月に企業側へアプローチするのがベストタイミングです。
12月までは企業側がなんとか新卒を確保しようと動く傾向があるので、次年度の採用活動が見え始める1月から選考を受け始めるのをおすすめします。
内定辞退の穴を埋めるための4月〜6月
最近は内定辞退が多く、すでに他社で研修を終え社会経験も持っている第二新卒が欠員補填のために注目されているのは、前の章でご説明したとおりです。
この「欠員補填」の選考を受けるためには、新卒研修が始まっている「4月〜6月」が狙い目。
内定を持っていない新卒を採用するには時期が遅すぎるため、第二新卒を積極的に選考しています。
第二新卒の転職成功のコツ② 退職理由・転職理由を明確にする
第二新卒の方は勤続年数が短い分、退職理由や転職理由の伝え方で悩む場面も多いことでしょう。志望理由やキャリアビジョンといった面接で聞かれやすい項目の軸になる要素でもあるので、まずはこの2点を考えることから始めることをおすすめします。
第二新卒の転職成功のコツ③ 自己分析からキャリアプランを考える
社会人経験のある第二新卒は、キャリアビジョンよりも具体性のあるキャリアプランを尋ねられる可能性が高いので、わかりやすく伝えられるよう準備しておきましょう。
第二新卒の転職成功のコツ④ 転職エージェントや転職サイトで企業リサーチを深める
キャリアプランまで固まっている状態なら、自分の条件に合った企業を探しやすくなります。もちろんここまでの行程の間も求人メディアなどから随時情報を得られる環境をつくっておきましょう。
忙しい合間に求人を探す際は、以下のようなツールがおすすめです。
- TwitterなどのSNSで求人メディアをフォローする
- 転職サイトのスカウトメールを利用する
- 転職エージェントに求人を斡旋してもらう
中途採用を行なっている企業の探せるツールとして転職サイト、転職エージェント、ハローワークの特徴などをまとめた記事があるので、詳細を知りたい方はこちらを読んでいただけると参考になるかと思います。
第二新卒の心強いパートナー 転職エージェントの選び方
第二新卒の転職が有利な理由、そして時期もわかりましたが、在職中に一人でできる活動は限られます。
そこで、転職エージェントの活用です。転職エージェントは、採用企業側からの紹介料で運営されているので求職者は無料で利用できます。安心して頼りましょう。
とはいっても、転職エージェントには「ベテラン中堅」「管理職」「専門職」など得意分野があり、間違った転職エージェントを選ぶと転職活動がうまくいかないこともあります。
最後に「第二新卒」を得意分野としている転職エージェントを紹介します。
CMや電車の広告などで有名な「リクナビNEXT」や「マイナビ転職」じゃないの?と思われた方もいるでしょう。
もちろん、有名転職エージェントにも第二新卒を求める案件はありますが、上記2社は特に豊富です。
普通、転職エージェントは紹介した人材が入社するとその人の年収の30〜35%ほどを紹介手数料として受け取ります。年収300万円でも、100万円近い金額になりますね。
なので、企業側は即戦力となる中堅からベテラン層の採用活動にそのような転職エージェントを利用する傾向があります。有名転職エージェントはほとんどこの方式です。
一方、上記で紹介した2社は年収に関係なく手数料が固定なので、これからどのように成長するか分からない第二新卒の採用に利用しやすいのです。
まとめ
いま、第二新卒にとっては千載一遇の転職チャンスです。
ただし、それも正しい情報と戦略があってこそ。この記事でお伝えした情報はきっとあなたの武器となり、ライバルを出し抜くことができるでしょう。いい転職ができるよう、応援しています!
(引用元:第二新卒で職務経歴を盛る・嘘はバレる?リスクと「盛らない」面接対策)