外資系企業への転職で失敗した5つのケースと後悔しないための具体策とは?

親しげに話す日本人女性と外国人女性 転職の知識

外資系企業への転職を考えている人の場合「外資系企業でやっていけるのか?」「転職で失敗や後悔をしないだろうか?」と悩んで足踏みしてしまいますよね。

今回は、実際に外資系企業へ入社した方が“外資系への転職は失敗だった”と感じた具体的なポイントをご紹介するので、あなたが外資系企業へ転職しても後悔しないかを確認してみましょう。

外資系企業への転職の失敗例を“見るべき”理由

外国人男性と話している日本人女性の後ろ姿

結論からお話しすると、転職における最大の失敗は“ギャップ”であり、外資系企業は特にそれが発生しやすい業界と言えます。

外資系企業と日系企業が根本的に異なる事はご存知でしょうが、外資系企業はイメージが先行しやすく、入社後に生まれるギャップが大きければ大きいほど、転職の後悔も大きくなるわけです。

そのため、外資系企業への転職は「とにかく今の職場を辞めたい」という状態の方には(熟慮する余裕がないという意味で)オススメできません。

外資系企業と日系企業、どちらもメリットとデメリットはそれぞれあります。

外資系企業日系企業
給料高給で安定に欠ける/年齢問わず出世のチャンス有普通だが長期的に安定/年功序列で左右される
入社後結果を出すまでの猶予期間は、比較的短め結果を出すまでの猶予期間は、比較的長め
教育自分で身につけるもの会社が用意するもの
長期休暇取りやすいが、休暇中も仕事をする人も多い取り難いが、休暇中は周りのフォロー有り
雇用(リストラ)経営不振または個人評価でいつでも行われる経営不振の際に行われる
福利厚生少ない、または無いケースもある充実しており給与から天引きされる
労働環境残業ありの企業は多いが、進捗次第で帰りやすい残業ありの企業が多く、帰り難い雰囲気も多々ある

では、外資系転職で多い失敗例についてお話ししていきます。

成功の具体例を取り上げていないためネガティブな印象が強くなるかもしれませんが、この記事を読んでいる方は既に外資系企業に魅力を感じている(メリットを知っている)という前提で失敗例にフォーカスして解説していきます。

外資系転職の失敗例&後悔の声①「入社後に給与キープの厳しさを痛感

給与袋からお金を取り出す様子「高給に惹かれて転職したが、結果が出ない限りその額面にはならないことを痛感した。退職金制度がない事は知っていたし、福利厚生が手厚くないと聞いていて自力でやりくりする覚悟はあったものの、想像以上にハードだった。固定給とインセンティブの割合を事前に確認すればこんなに焦らなかったかもしれない。」

外資系転職を後悔しないために「給与体系は詳細まで確認」

現職での給与の手取りと、転職志望先の給与の手取りは、その内訳も明確にした上で比較しましょう。手当も含めた額面や年収など、詳細が見えない形で給与額を比較しないよう注意してください。

募集要項などを見ると、同じランクの業務内容でも外資系の方が高給であるケースが多いですよね。

しかし、実際はインセンティブの割合が高かったり、記載されていた手当が別途ではなく基本給に含まれていたりと、見落とすと入社後に驚くことになります。

以下の給与体系などは外資系、日系問わず、基礎知識として頭の隅に置いておきましょう。

歩合制とは

金融業、コンサルティング業、保険会社などは歩合制(インセンティブ)の枠が設けられていることが多く、結果を出せばボーナス外でも報酬が発生します。

先ほど触れたように、このインセンティブの“枠”によっては、成果が奮わなかった月の生活が厳しくなるなど、成功の幅がある代わりに安定に欠けた形になります。

年俸制とは

年俸制も外資系企業では多く見られる給与体系で、年単位で給与額を提示した上で毎年更改していくことになります。

決定した額を12ヶ月で分割して支払ってもらうわけですが、賞与がその中に含まれているか田舎は確認しておきましょう。

年俸とは別で賞与が受け取れる場合、募集には「年俸制 賞与あり」という記載がされているはずです。

残業代も“みなし残業”として元から含まれている場合、そうでない場合があるので、エンジニアなど残業が発生しやすい職に応募する方は注意しましょう。

外資系転職の失敗例&後悔の声②「グローバルなキャリアパスは確約されない」

オフィスで話し合っている日本人男性と外国人男性
「留学経験を活かしたいと思い、外資系商社への転職を選択。クライアントと英語で話したり、グローバルに飛び回ったりするような仕事に憧れがあったため、ビジネス英会話教室に通ってキャリアアップに向けた準備をしていたつもりだった。しかし、いざ働いてみると英語を使う機会にはあまり恵まれず、後悔している。」

外資系転職を後悔しないために「日系企業も選択肢に入れておく」

「グローバルに活躍したい」「英語力で転職を有利にしたい」という目的で外資系を検討している方は、転職先を慎重に選ぶ必要があります。

英語が公用語となる外資系企業ももちろんありますし、社内システムやツールが英語というケースは非常に多く、日系企業の何倍も英語力が生きる場面があります。

ただし、英語力は大前提となり大きなアピールポイントにならないこと、海外クライアントとの商談などといったお仕事はむしろグローバル化に取り組み中の日系企業の海外営業部などの方が機会に恵まれるケースもあることを理解し、選択肢を広く持つよう意識しておきましょう。

外資系転職を後悔しないために「転職エージェントを利用する」

外資系企業は変則的に人材募集を行う傾向があり、募集情報が流れてこないことも多いものです。

しかし転職エージェントを利用すれば、そのエージェントの持つ非公開求人を紹介してもらえることもあります。

また外資系企業はプレゼン力の高い人材ほど採用されやすいため、実際に転職に成功した人の経験談を参考にするのもひとつの手段です。

その場合も、転職エージェントの持つ過去の情報を利用できるため、外資系企業への転職では、エージェント利用が大きなメリットを持ちます。

外資系転職の失敗例&後悔の声③「面接は通ったのに英語力の不足で悩むことに」

スマホ片手に辞書で英語を勉強するビジネスマン
「唯一の懸念点だった英語力の不足は、面接でも応募書類でも正直に伝えた。入社が決まったので自分の英語力が合格ラインだったのかと思ったら、入社直後からついていくのがやっとの状態だった。しばらくは英語の勉強をしながら頑張っていたが、キャリアパスも英語力の不足で行き詰まり、勉強と業務で必死な毎日に限界を感じて再度転職を決めた。」

外資系転職を後悔しないために「英語の必要レベルは再確認」

TOEICの点数など明確な合格ラインを設けている外資系企業が多いイメージですが、意外と採用時点では年齢やポータブルスキルを重視して英語力を深く追求せず内定を出す企業もあります。

サービス、製品、ブランドなど、ローカライズが進んでいる企業の場合は日本語だけで完結できる業務ばかりのこともあり、部署や職種によって左右されます。

しかし、重要な業務や役職に就く際に突然外国人(上司など)とのコミュニケーションが必須となり、英語力が足りなかったために出世ルートが無くなるというケースもあります。

外資系への転職は現実的かTOEICの点数から考える

応募条件でTOEICの点数を挙げている企業は、英語ができることは前提とした上でさらに「どの程度の業務が任せられるか」の目安としています。自身の英語力の現状と、入社前後のキャリアパスを計画するための参考としてご確認ください。

TOEIC 800点は「メールや電話対応など最低限の業務」

デスクでの業務に限られている場合は、800点前後でも外資系企業への転職は現実的です。

イレギュラーな内容が少ない電話対応、調べながらのメール対応などの初歩的な業務が任せられるが、英語力をフル活用する戦力としては頼りになるというわけではない、というポジションでしょう。800点に達しているのであればひとまず応募し、内定が決まった時点からさらにビジネスレベルの勉強を、という方法に出てもいいかもしれません。

しかし、800点に達していない場合は内定がもらえても入社後が苦しくなる可能性が高いので、まずはTOEICはもちろん、語学学校やビジネス英会話関連の受講を経た上での応募をおすすめします。

TOEIC850〜900点は「社内外で英語でのコミュニケーションが発生する業務」

外資系企業における“TOEIC800点”は“普通”であり、業務上の強みにはなり得ませんが、社内外の人間と英語で意思疎通ができるレベルとして認識されることになります。

この範囲内の点数で内定をもらえ、募集要項に本社社員(外国人社員)を交えた会議参加などの業務がある場合、まだ英語習得の努力が必要な段階で採用されたという風に受け取ったほうがいいかもしれません。

TOEIC900点以上は「即戦力!」

TOEIC900点以上になって初めて、転職時の面接で“強み”としてPRできるポイントとなります。事務的なことから会議への参加やレポートの作成など、すべての業務を英語でスムーズに行える人材と認識されます。

外資系転職の失敗例&後悔の声④「外資系は人間関係が楽だと思ったら…」

人間関係の図をハサミで切ろうとしている様子
「数字を出していても年功序列で役職が決まることや、上司後輩との関係構築ばかり気にしなければいけないことが煩わしく転職。成果重視とよく耳にする外資系なら同僚との交流も最小限で許され、仕事に没頭できると思ったが、むしろ自分から積極的にコミュニケーションを取らなければ仕事が増えない環境だった。」

外資系転職を後悔しないために「都合のいい先入観は払拭する」

外資系はドライで同僚とのコミュニケーションは最小限でいい、上司ともフランクな付き合いができる、といった思い込みを持っている方もいますが、外資系だからといってそこまで極端な環境になることはほとんどありません。

むしろ外資系企業も日本支店は日本人社員が多くの割合を占めているケースが多く、そうなると日系企業と雰囲気はさほど変わりません。

もちろん「仕事で成果を出していたら他のことは許される」という環境は、外資系・日系問わず稀です。

外資系に転職する理由が人間関係という方は、解決策の入り口を“外資系”に設定していること自体を一度見直してみましょう。

実際に働く先輩や口コミ、転職エージェントなどの意見をできるだけたくさん聞いて、自身が外資系企業に抱くイメージに幅を持たせることが必要です。

外資系転職の失敗例&後悔の声⑤「仕事内容の幅が狭い、広がらない」

デスクで考え込んでいる女性
「転職先の外資系企業では、待遇、労働環境などすべて希望通りで不満は無かったが、1年経っても任される仕事が広がらず不安に思っている。年齢や経歴に関係なく活躍の場があるため、キャリアを広げるのに良い環境だと思っていたので残念。また、最終決定は本国、会議も本国時間なので、振り回されている感覚が強い。」

外資系転職を後悔しないために「職務内容をしっかり聞いておく」

アメリカ系の企業に多い「ジョブ・ディスクリプション(職務記述書)」の存在からも伺えますが、外資系は任せる責任は職務内容をしっかり提示にする企業が多い傾向にあります。これは同じく外資系に多い評価制度や(リストラが経営難以外でも発生する)雇用管理とも強いつながりがあります。

つまり、採用時点で人材とのマッチングが高いため、大規模な外資系企業では突然新しい分野の仕事を任されるようなシーンは少なかったりします。

所属するチームに合わせて自分の立ち位置を確立していく日系企業では、採用時に説明される職務内容が曖昧なことが多い代わりに、色々な仕事を任される機会も多く、チームへの貢献度で評価が上がる形になることが多いですよね。

「キャリアを広げたい」という構想がある方は、面接の際にしっかりと質問して、企業側とのすれ違いがないように注意しましょう。

まとめ

オフィス内を歩いている若いビジネスマン
外資系企業は中途採用が盛んに行われている業界であり、自由なワークスタイルや雇用条件(主に給与額など)に憧れ入社を決める方も非常に多いようです。

しかし、企業を正しく理解をしていない状態で転職先を決めると、せっかく内定をもらったにも関わらず転職を後悔するような結果に陥りやすくなります。

今回ご紹介した失敗例も、ほとんどは事前のリサーチ不足から生じた後悔ばかりです。そのギャップを埋めるためにも、転職を成功させるためにも、企業リサーチは最も重要なステップとなります。