転職の面接で「キャリアプラン(将来の自分)」は、よく聞かれる質問の1つです。
キャリアプランを見据えての転職希望者にとっては当然とも言える質問ですが、それを相手に伝わるように話せる自信はありますか?
今回はキャリアプランの意味などを説明した上で、回答の考え方や例文をご紹介して行きます。
この記事の目次
転職時の面接でよく聞かれる「キャリアプラン」とは
キャリアプランは簡潔に言えば“人生におけるすべての仕事を通して、自分が目指す人物像”と“その過程で必要なモノ、コト”で構成されます。
プランという言葉からもわかるように、実現に向けた手段や意欲があってこその話です。旅行の計画を立ててほしい、と頼まれたのに「沖縄でのんびり観光したい!」とだけ回答するのでは不十分ですよね。
沖縄を楽しむために台風のシーズンは避けたいから○月あたりにしよう、食べ歩きがメインならお店の営業時間に合わせて朝早くに出発しよう、そもそもどんなお店があるか見ておく必要があるね、など具体的な過程や手段の話が出てきて初めて“願望”から“計画”となります。
沖縄は遠いから、途中で○○県を経由して△△で一泊すればご当地グルメの食べ比べも出来て充実する、なんて発想が旅行の目的をより明確にする場合もあるかもしれません。
キャリアプランと聞くと非常に難しい印象がありますが、あなたの最終目標さえ文章化に出来れば、あとはそこまでの工程を考えていくだけです。
キャリアプラン・キャリアビジョン・キャリアパスの意味はどう違う?
面接では「キャリアプランを教えてください」ではなく、「キャリアビジョンを教えてください」「あなたの考えるキャリアパスについて話してください」といった聞かれ方をする場合もあります。
「キャリアプラン」「キャリアビジョン」「キャリアパス」は厳密には違う意味合いを持った言葉ですが、面接官がワードの意味合いを混同しているケースが多いこと、またいずれの質問をされたとしてもすべてを総合した回答をすべきであることから、面接ではこの3つのうちどれを聞かれても“キャリアプランを聞かれている“と認識して答えても問題ないでしょう。念のため、各ワードの定義についても記載しておきます。
- キャリアビジョン(理想)・・・仕事における自分の理想像。願望に近い
- キャリアプラン(計画)・・・仕事において自分が目指す人物像。キャリアビジョンを現実的に落とし込むもの。転職や独立なども視野に入れた長期的なニュアンス
- キャリアパス(経路)・・・企業における出世の経路。キャリアプランが転職なども含む意味合いなのに対し、“出世のモデルケース“といった企業内で完結する内容を指すことが多い
まずは採用側が面接でキャリアプランを聞く意図を知る
まだ社会経験のない新卒の場合は、キャリアプランと聞いてもピンとこない方がほとんどでしょうし、採用側も新卒の回答に対してある程度寛容なのも事実です。
新卒の場合は、「会社との相性はいいか」「長く働いてくれる人材か」「成長の見込みはあるか」など、極端に言えば、面接の質問はすべてこの3つの視点から聞かれていると意識しておけば問題ないでしょう。
しかし、第二新卒、中途採用の場合は社会経験がある分具体的なキャリアプランが求められ、適切な回答をするためには各質問で伝えるべき内容をさらに細分化する必要があります。
例えば、自分の性格に関する質問では「自己分析能力」と「経験・スキル」など、過去の自分を客観視することで得られる情報が求められます。対して、キャリアプランは過去・現在を含めたその延長線上までを語る必要があり、「自己実現能力」が問われていると言えます。
次に、キャリアプランの回答を実際につくる方法、またその例文をご紹介します。
転職時の面接で話すべき「キャリアプラン」の考え方
ここまでお話ししてきたようなキャリアプランを組み立てるには、必ず盛り込むべき要素として以下の3点を意識しておきましょう。
- 転職希望先の企業を理解できているか?
- 入社後の明確な目標はあるか?
- 目標に対し努力しているか?
1.企業の理念や方針を確認する
志望先の掲げる目標とかけ離れたキャリアプランを避けるために、企業のリサーチから始めることをお勧めします。
新卒採用と違い、転職希望者に対して説明会やパンフレットの配布を行っている企業は多くありません。そのため自力で情報収集を行わなければいけないわけですが、事業の現状や今後については、決算説明会資料を見てみるのも1つの方法です。特に説明会での質疑応答をまとめた箇所などは、会社の具体的な直近の課題や目標を確認することができます。
会社のHPでは「企業理念」と「沿革」の部分は必ず読んでおきましょう。特に沿革は創立時から現在にかけて事業がどんな変化を経ているのか、またその先を想像するヒントとなります。社長または社員インタビューなどが掲載されているようなら、実際に働いている方の話をガイドに考えてみるのもいいかもしれません。
2.入社後の目標を書き出す
志望先の情報をある程度把握したら、次はキャリアプランのゴールを考えます。企業の情報を持っている状態なので、以下虫食いを穴埋めするような感覚で考えてみればスムーズなはずです。
〇〇(A.部署)で△△(B.役職/役割)の立場で□□(C.業務内容)をやることで御社に(D.どのように)貢献したい。
おそらく「D.どのように」貢献したいか、の点が最も悩ましい箇所になるかと思いますが、ここが具体的に浮かばない際はもう一度リサーチに戻り、また穴埋めに挑戦し、という繰り返しをしてみてください。どれか1つでも曖昧なままだと、考えているうちに矛盾が生じてしまう可能性があります。
3.「現職・前職で経験したこと」から「2で考えた内容」までをまとめる
今までの経験をスタートとして、先ほど考えたゴールまでの空白を考えて行きます。縦軸を簡単な時系列になるよう箇条書きにして、あとで整頓して行きましょう。
転職の場合は社会に慣れる期間が除外されるので、3年後には部署や立場などに変化が訪れるはずです。それまでに得るべき経験、知識、思いつくだけ並べて行きます。リストを見直し、具体的な数字や名称がいれられそうな項目があればどんどん追加して下さい。
例)
<スタート>「前職ではこんな経験をした・スキルを身につけた」
↓
「3年後どうなっている?」
↓
「6年後どうなっている?」
↓
<ゴール>10年後「〇〇(A.部署)で△△(B.役職/役割)の立場で□□(C.業務内容)をやることで御社に(D.どのように)貢献する。」
書き出した内容を伝わりやすい構成で文章化する
要素が出揃っていれば、あとはそれを並べ直しながらつなげていき、簡単なリライトをするだけで文章の大枠が完成します。
まずはボリュームや話す順序を考えずに羅列し、その後に内容の取捨選択や並べ替えを行うと、文章が整理されて聞きやすく(読みやすく)なります。
文章を書くことに慣れていない方は、PCなどではなく紙に書いて印をつけながら考えることをお勧めします。PCやスマホは便利ですが、編集の過程が可視化されにくいので、迷った時に振り返りづらくなるためです。
転職希望者が面接で「キャリアプラン」を聞かれた際の解答例
キャリアプランの解答例①
<サービス担当者から「開発者」へキャリアアップの場合>
私は御社の商品開発部で、一般家庭に浸透するようなヘルスケア商品を企画していきたいと思っております。
御社はヘルスケア用品という競合の多い業界において、ユーザー調査に力を入れた事業を最も多く展開していることから、そのビッグデータが将来的に類を見ない商品開発へとつながることを確信しております。
私は現職で健康をテーマとしたメディア運営を行っており、“よりよい生活を送る”ための知識を専門家協力のもと発信しています。そこで、当人の悩みを解決するには当人の声を聞くこと、またその声を商品に落とし込める技術力が必要だと感じました。
私は数年の間、ユーザーの声と専門家の教えをつなぐ立場に従事していましたが、これからはその知見を活かし、ユーザーのそばに専門家が寄り添っているような感覚をもてるヘルスケア用品を開発するべく、御社の商品開発部を志望致しました。
キャリアプランの解答例②
<新規開拓営業から「営業企画」へキャリアアップの場合>
私は御社の営業企画部として、ビジネストレンドの変化に柔軟に対応した企画立案をし、クライアント側のビジネスの選択肢を大きく広げられる人材になりたいと考えております。
私自身、現職では営業部に所属しており、クライアントの要望に合わせた広告の提案にやりがいを感じております。一方で、基本的にすでに存在する広告プランやサービス内の提案となることに窮屈さを感じています。
もちろん、広告プランは汎用性が高いものですが、サービス展開が少ないためにクライアントからの細かい要望の反映、プラン外のメニューの問い合わせ対応が難しく、クライアントのニーズが日々耳に入ってくる立場としてはもどかしい想いが強くなり、現場での経験と実際に聞いたクライアントの声を活かした企画をしていきたい、と考えるようになりました。
御社では短いスパンで新サービスが多く展開されていて、同業の立場から見ても「クライアント目線」にウェイトを置いた事業内容だと感じました。ここでならクライアントの要望を細かくチューニングし、カスタマイズをゼロスタートから携われると思い、今回応募させていただきました。
まとめ
面接で「キャリアプラン」について話すのは誰にとっても簡単なことではありませんし、正解が存在するわけでもありません。しかし、キャリアプランを考える機会自体は、第二新卒にとって大きな資産となります。
キャリアプランを持って行動する人とそうでない人とでは、仕事における決断の精度にも大きく差が出ます。何かが起こる度にそれが「あなたのゴール(将来)」にとって重要か否か、またゴールへたどり着くためにどうするべきかが既に明確になっているからです。
この記事を読んでいる時や、キャリアプランに悩んでいる時は苦しくても、ゴールを想像できている方の将来はきっと明るいことでしょう。