求人サイトの仕組みを詳しくご存知でしょうか。
求人サイトの収益構造や掲載順などの仕組みを知ることで、より効果的な活用が可能になります。
そこで今回は、求人サイトの成り立ちや掲載される企業がどのような背景を持って情報を出しているかなど、少し求人サイトの裏側をのぞいてみたいと思います。
この記事の目次
求人サイトが無料で利用できる理由
求人サイトの利用は、登録者(転職希望者)に料金かからないものが一般的です。なぜ無料で利用できるのか、不思議に思ったことはないでしょうか。
求人サイトの運営会社は掲載料と成果報酬の2パターンで成り立つ
求人サイト運営会社の収入源としては、主に「掲載料」と「成功報酬」の2種類があります。
掲載料とは、求人を行う企業が支払う料金のことです。掲載料は転職サイトごとにまちまちですが、一例として4週間掲載で20~30万円程度、といった相場観となっています。
これに対して、成功報酬とは主に転職エージェントが採用している料金体系です。専属のキャリアコンサルタントを通じて内定が決まった場合、企業から初年度想定年収の3割程度を手数料として支払ってもらうという仕組みです。
つまり、掲載料の場合は求人を載せる時点で料金が発生するのに対して、成功報酬の場合は内定者が出ない限り料金が発生しない点が大きな違いです。
登録者ではなく企業から費用を補っているから無料で使える仕組み
いずれにしても、登録者は求人サイトの利用料金を支払う必要はなく、求人を掲載する企業が何らかの形で利用料を負担しています。
無料で利用できるのは何か怪しいのでは?などと考える必要はありませんので、安心して利用しましょう。
求人サイトで募集する企業側のメリット
実は、求人を掲載しても企業側に料金が一切発生しない方法があります。国が運営しているハローワークに求人を出せばいいのです。
ハローワークは、職員の人件費など運営に必要な費用は税金で賄われており、求人を掲載しても利用料がかかることはありません。
では、なぜ企業は決して安くない利用料を支払ってまで、求人サイトに求人広告を掲載するのでしょうか。
求人サイトの知名度が求人の価値を上げる
企業にとってのメリットとしては、求人サイトの知名度を利用できるという点があります。
近年はインターネットを活用して転職活動をする人が増えており、まずは著名な求人サイトを検索して仕事を探す人が多勢になっています。
「リクナビNEXT」や「マイナビ転職」といった代表的な求人サイトに掲載することで、多くの人に自社の求人を見てもらえる確率を高めているのです。
コストを投じてでも求人サイトに掲載するほど本気度が高い
つまり、有名な求人サイトで募集を行っている企業は、それだけのコストをかけても人を採用しようとしています。
もちろん、ハローワークに求人を出している企業の質が低いというわけではありませんが、大手求人サイトで募集をかけているのは、企業側の採用にかける本気度を測るバロメーターともいえます。
希望条件に近い求人が表示される仕組み
求人サイトに会員登録すると、「希望条件に近い求人が掲載されました」といったお知らせが表示されることがあります。このような、希望条件を求人サイトのほうから知らせてくれる機能はどのような仕組みになっているのでしょうか。
まず、求人サイトに登録する際に「希望条件」を登録するよう求められます。業種や職種、勤務地、給与条件、年間休日数、仕事の特徴といった条件を登録しておくと、条件に当てはまる求人を表示してくれます。
なかには、会員登録しなくても、希望条件を設定して求人を検索した記録をブラウザに残し、次に同じ求人サイトを開いたときに以前検索した条件に合う求人を表示してくれるサイトもあります。
こうした仕組みはレコメンドと呼ばれ、ユーザーがいちいち検索条件を設定し直さなくても済むため、求人検索時間を短縮し転職活動を効率化するのに役立ちます。
求人サイトで優良な求人を見分けるには
特に大手の求人サイトに掲載料を支払って求人を出す場合、掲載する文字数や画像の点数、表示順序によって企業が支払う掲載料に差があることがほとんどです。
文字数が少なく画像が1つもない求人は掲載料が比較的安く、画像が何点も使われて文字数が多い求人は掲載料が高めであると考えていいでしょう。
求人情報が上位に出る企業は掲載料を高く払っているかも
また、検索すると高い確率で1ページ目に出てくる求人は、とくにお金をかけて表示順序の優先度を上げてもらっていると考えられます。
しかしここで間違ってはいけないのが、「文字数も画像も多く、1ページ目の上のほうに表示された求人」は「求人にお金をかけている」のだから、「優良企業である」とは限らないという点です。
人気業種は競争が激しいため企業も求人に予算を投じる
多くの人に見てもらうために投資を惜しまないという背景には、もちろん人気業種で競争が激しいという理由があるケースも考えられます。
しかし反対に、不人気業種や離職率が高いなどよくない評判がある企業で、人を集めるためにお金をかけざるを得ないという事情があるかもしれないのです。
文字数が少なく画像もない求人は、一見すると味気なく思えるかもしれません。ところがよく調べてみると、ひとたび求人を出せば応募が殺到する隠れた人気企業や、あまり求人を行わない社員の定着度が高い企業など、優良な求人も多く含まれています。
企業情報や他の口コミサイトもよく調べて、地味な印象の求人から隠れた優良企業を見つけましょう。
転職エージェントを併用できる求人サイトもある
大手の求人サイトの中には、転職サイトに登録するとそのまま転職エージェントを利用できる場合があります。
転職エージェントとは、キャリアコンサルタントと面談を行い、希望条件やこれまでの経験を伝えたうえで、条件に合った求人を紹介してもらえるサービスです。
求人サイトを検索しても結果に表示されない非公開求人は、転職エージェントを通してのみ応募できるケースもあります。
転職サイトに登録後、転職エージェントも同時に利用する際は、志望動機の書き方に注意が必要です。転職エージェントは多くの求人から希望に合うものを探してくるため、特定の企業や限られた職種にしか通用しない志望動機を書いてしまうと、キャリアコンサルタントから紹介された企業の条件や仕事内容と合わない可能性があるのです。
たとえば、「これまでのキャリアを生かし今後どのような働き方をしていきたいか」など、どの企業にも通用する汎用的な志望動機としておき、考えてもいなかった求人を紹介された場合でも、対応できるようにしておくことが重要です。
このような志望動機の書き分けをするためにも、求人サイトの仕組みや転職エージェントとの違いを、きちんと理解したうえで求人サイトを利用してください。
まとめ
いかがでしたでしょうか。生涯の仕事を選ぶにおいて、必ずしもそれまでの自分の知識や経験で判断するのがベストな選択でないことも多いものです。
長い人生を考えたときには、想定していない出会いがその後の人生を大きく左右することもあります。