社会人1年目の新卒にとって、自分の初任給の額が高いか低いか客観的に判断するのは難しいですよね。
また、なぜ手元に入る額(手取り)が2ヶ月目から減ったのかなど、給与に対して疑問を抱かれているかも多いのではないでしょうか。今回は厚生労働省の調査データからわかる平均初任給と、新卒の手取りの計算方法をご説明します。
この記事の目次
学歴別の新卒の平均初任給は?
参考元:https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/17/index.html
参考元:https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/17/01.html
大学院修士課程修了 : 233,400円 |
大学卒 : 206,100円 |
高専・短大卒 : 179,200円 |
高校卒 : 162,100円 |
※平成29年の平均初任給の金額
新卒の初任給は増加傾向に
- 学歴ごとに約1~3万円の差が出ている
- 前年からの増加率は「大卒」と「高専・短大卒」が高い
- すべての学歴に置いて初任給は増加傾向にある
また、各性別の学歴別初任給は、平成25年から平成29年で上記図(第2図 性、学歴別初任給の推移)のような推移が見られます。学歴での差は確かにあるものの、男女ともに年々増加傾向にあることは一目瞭然ですね。
企業規模別の新卒の平均初任給について
参考元:https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/17/02.html
「小企業」の平均初任給に特徴的な動き
- 企業規模で初任給のバラつきが大きいのは「院卒」
- 小企業は全学歴に対して増加傾向が大きい
- 「大卒」は企業規模間格差が最も拡大
前項の「学歴のみ」で対前年増減率を見た場合では、「大卒」と「高専・短大卒」の増減率がともに1.3でトップ。しかし、企業規模で見た場合、小企業における「高専・短大卒」の対前年増減率は2.6と、群を抜いて増加しています。
規模間格差のみに着目した場合、「大卒」は中小企業ともに格差は広がっています。もともと格差が最も大きい「高専・短大卒」「高卒」は逆に縮小傾向にありますが、これは中小企業が「売り手市場」の中で、採用に積極的になることと関係している可能性があります。
業種別の新卒の平均初任給について
参考元:https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/17/
「平均初任給が高い職種」は学歴によって変化がみられる
- 「鉱業、採石業、砂利採取業」は初任給が高い傾向にある
- 「宿泊業、飲食サービス業」は平均初任給が最も低い
- 「大卒」は職種ごとの初任給の差が小さめ
新卒の平均初任給が一番高いのは鉱業・採石業でした。資源ともなる事業は需要が高く安定していることが要因の一つと言えるでしょう。
その次に平均初任給が高い「情報通信業」は、ここ数年で平均年収が大きくが伸びている職種です。アプリケーションやシステム開発といった華やかな業務内容もあり、若い世代からの人気も伸び続けています。
都道府県別の新卒の平均初任給について
参考元:https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/17/index.html
今、新卒の平均初任給が一番高いのは東京ではない
- 「大卒」で最も初任給が高いのは千葉県
- 「大卒」で2番目に高いのは岐阜県
- 「高卒」で最も初任給が高いのは東京都
“最も初任給が高く物価も高い”というイメージが定着している東京ですが、平成29年の結果ではまさかの第3位になりました。
第2位も神奈川県などを抜いて岐阜県がランクインしており、初任給が高いのは都市部だけというステレオタイプを見事に壊された方が多いのではないでしょうか。
新卒の平均初任給は「手取りいくら」になる?
後述しますが、初任給はほぼ満額支給される一方で、2ヶ月目、2年目などのタイミングで給与から控除される項目が増えます。
額面給与から天引きされる金額の内訳と、実際に「手取り」として自分の手元に入る額面を理解しておくと、今後手取りに変化があった時も焦らず対応できます。
初任給から引かれる項目
- 雇用保険(給与の0.3%)…失業した際に失業給付を受けるための保険
- 所得税(既定の金額)…所得に対して発生する税金
例)初任給20万円の場合
手取り194,630円=初任給200,000円-(雇用保険600円+所得税4,770円※1)
※1参考元:国税庁 給与所得の源泉徴収税額表(平成29年分)
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/zeigakuhyo2016/data/01-07.pdf
初任給の翌月から引かれる項目
- 健康保険料(既定の金額)…治療の自己負担額を軽くするための保険。会社と半額ずつ負担する。保険料率は会社が加入している健康保険組合によって異なる。
- 厚生年金保険料(既定の金額)…将来、年金を受給するための掛け金。会社と半額ずつ負担する。給与の約9%だが、給与によって変動する場合もある(標準報酬月額等級)。
例)初任給20万円の場合
2ヶ月目の手取り167,420円=初任給200,000円-(雇用保険600円+所得税3,770円+健康保険料9,910円※2+厚生年金保険料18,300円※3)
※2参考元:全国健康保険協会 平成29年4月分(5月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/shared/hokenryouritu/h29/ippan4gatu/h29413tokyo.pdf
※3参考元:日本年金機構 厚生年金保険料額表(平成29年9月分~)
http://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo-gaku/gakuhyo/20170822.files/1.pdf
入社2年目から引かれる項目
- 住民税(前年の所得に応じて増減)…住んでいる都道府県、市町村に納める税金。
例)給与20万円のままの場合
2年目の手取り157,712円=給与200,000円-(雇用保険600円+所得税3,770円+健康保険料9,910円+厚生年金保険料18,300円+住民税9,708円※4)
※4住民税は東京都渋谷区と仮定して算出したもので、あくまで目安です。正確な金額は確定後に会社経由で配布されます。(住民税課税決定通知書)
まとめ
新卒の平均初任給と、実際に支給後に手元に入る「手取り」の変化は、社会人1年生にとって関心度の高いトピックですよね。
周囲から聞いた初任給の額と、自分の初任給の差を不思議に思っていた方は、今回ご紹介した統計で納得できた部分もあったのではないでしょうか。新卒ははじめての就職だからこそ、入社後に“収入アップ”と“やりがい”の両立に不安を抱える方も多くなります。
社会人生活につまずいた方は、一度転職エージェントに相談してみるのもひとつの方法です。「まだ転職する決心は固まってないけど……」という方でも、自分のキャリアプランの見直しという意味でおすすめします。
第三者の意見を聞いた上で今の会社にのこる選択ができたのなら、漠然とした不安を抱くこともなくなり、それはそれで結果オーライではないでしょうか。