フリーターと正社員の違いを理解した上で、どのような流れで就活を進めていくべきかについてお話ししていきます。
フリーターを経て正社員を目指すケースはそう珍しくはありませんが、「何から始めればいいのか?」というスタート地点で悩んでいる方に向けた、フリーターが正社員になるためのTODOリストも紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
この記事の目次
フリーターと正社員の明確な違いとは
実は給与面で見た場合、フリーターと正社員に大きな差は無く、むしろ働き方の自由度が高いフリーターが正社員より高い年収を得るケースさえあります。
フリーターと正社員の違いを見るためには、数十年スパンで比較してみる視点が必要です。
フリーターと正社員の違い① 年収ではなく生涯賃金に大きな差がある
最初に触れたように、フリーターと正社員の年収はさほど格差が見られません。
例えば、月給20万の正社員が1年間働いた場合、単純計算で年収は(賞与除き)240万ほどになります。
フリーターの場合、時給1,000円のアルバイトなら週に5日9時間ずつ働けば同じ年収に追いつきます。夜勤手当などで上乗せするなど自分の努力次第で、すぐに月給を増やすよう生活を調整することも可能です。
しかし、生涯賃金(※1)で見ると以下のようになり、賞与や退職金等でさらに差が出てくることは頭に入れておくべきでしょう。
(※1)生涯賃金…ひとりの労働者が生涯にわたって得る賃金の総額
(※2)フリーターの生涯賃金は先ほど例にあげた年収240万で横ばいという仮定の元、同条件(退職までの年数)で単純計算したものです
フリーターと正社員の違い② 福利厚生の充実度が違う
福利厚生自体は正社員でも企業ごとに充実度は変わりますし、堅実に貯蓄しておけば(つまりお金さえあれば)なくても最悪困らない内容ばかりです。
逆にいえば、アルバイトの収入に余裕が設けられない状態の方は、福利厚生の存在が非常にありがたいものとなるでしょう。
例)
住宅手当:家賃の○%支給など
健康診断:会社負担で受けられる
役職手当:役職に応じて給与額がプラスされる
退職金制度:給与から引かれた積立が退職時にまとまって渡される
有給休暇:休んでも給与が発生(条件によってはバイトも付与される)
フリーターと正社員の違い③ 社会的な信用を得やすいか否か
何かしらのローンを組む時、クレジットカードの審査の時など、雇用形態によって信用度を判断されるシーンは多々あり、こうした審査に通りにくいというフリーターの声も多いですよね。
実際、フリーターは以下のような不安要素を払拭しにくく、そのイメージを覆せるほど社会的立場や今後の展望が可視化されていない雇用形態であることも事実です。
- 安定した収入が継続的に得られる保証がない
- 責任の問われる立場になることを避けている印象を与える
- フリーターは正社員より簡単な業務を担当しているイメージを抱かれやすい
フリーターが正社員になることを決意する瞬間とは?
フリーターとして働いている方が、長期的な人生設計がしにくいという不安をきっかけに就職を決意するケースは非常に多いですよね。
トピックとして挙がりやすいのは“結婚”で、式はもちろん結婚後もそれなりにまとまった金額の出入りが発生します。結婚願望がなかったとしても身体に無理が利かなくなる30代以降の働き方は視野に入れておく必要があります。
身体を壊した際には入院費に医療費、休んだ期間の収入等、もしもの出費は誰にでも訪れます。
また、40代や50代でも同じような業務内容で同じ時間まで働けるのか、また、限界が来た時に社会人経験の無い既卒30代では就職が難しいのではないか……これがフリーターとして働き続ける上でのリアルな悩みとなるはずです。
フリーターから正社員への就職の方法は1つじゃない? フリーターから正社員になった体験談
次に、フリーターから正社員になる方法の一例として体験談をいくつかご紹介します。
アルバイトから正社員登用となる
「大学卒業後に就職活動をせずフリーターになり、3年間続けたアルバイト先で正社員の方からお誘いがあり社長面接を経て就職しました。正社員の仕事内容がアルバイトの延長に近かったため、スムーズに入社できたようです。」
既卒・フリーターに特化した就職サイトを利用する
「何から始めたらいいかわからず、とにかく無料の就職サイトに登録しました。シフトが調整しにくいバイトだったので面接もたくさんは受けられませんでしたが、未経験歓迎などに絞って応募していたので、早めにご縁はありました。」
媒体ごとに得意なジャンル(職種など)があるので、色々と覗いてみるといいでしょう。
知人に就職先を紹介してもらう
「就職活動の予定はなかったものの“いつかは……”と考えていました。たまたま飲み会でその話をした相手が、ちょうど採用を始めようとしている知人がいるとのことで紹介して頂いた会社に就職しました。」
タイミングなども含め、運任せな部分が強い事例ではありますが、就職活動と並行して“人と会う機会”を積極的に作っておくといいかもしれません。
フリーターが正社員になるためのTODOリスト
最後に、フリーターの方が正社員を目指す上で“まずやるべきこと”について順番に説明していきます。
先ほど体験談を基にフリーターの方が正社員になるための方法をご紹介しましたが、バイト環境や職種によっては参考にできないものもあったはずです。そのため、最も汎用性が高い「就職サイトの利用」の事例をベースに就職活動のTODOリストを作成しました。
TODO①就職サイトへの登録や関連SNSアカウントのフォロー
フリーターの方の場合は応募できない求人もでてくるため、情報収集に力を入れて就職先の選択肢を広げておく必要があります。その際に役立つのが就職サイト、またその公式SNSアカウントです。
フリーターや未経験に特化した就職サイトに登録し、まずはどのような求人があるのかを確認して見ましょう。
就職サイトは能動的に検索したりする必要がありますが、公式SNSではピックアップされた求人情報がランダムで流れてくるので、併せて利用することでバランスよく情報収集していきましょう。
スカウトメールや新着情報などは1日1回以上を目安にこまめにチェックしてください。
TODO②自己分析シートを作る
就職サイトへの登録と並行して行っていただきたいのが“自己分析”です。
先に希望の求人を見つけ、応募書類を作る際に初めて自己分析を行うケースが多いのですが、ついつい志望先に寄せた自分を作り上げてしまう可能性があるので、できれば自己分析は最初に行っておくことをオススメします。
逆に自己分析した結果から希望職種や適性が明確になることもあるので、作成を急いでも損はありません。
自己分析の方法がわからないという方は、ハローワークのセミナーや転職エージェントの面談など、第三者のアドバイスがもらえる環境で着手すると良いでしょう。
TODO③企業・業界リサーチ
自己分析を終えた上で、希望の企業や業界周辺のことも調べておきましょう。
基本的に企業サイトの沿革、社員インタビューなどから“今まで”と“これから”を知ることができます。
「なぜ、数ある企業からうちを選んだのですか?」という質問にも答えられるよう、応募の予定はなくても同業種や競合企業のサイトにも目を通しておくようにしましょう。
TODO④履歴書と職務経歴書の作成
転職サイトに登録する際も、職務経歴を記入する欄があるはずです。アルバイトで働いてきた期間について、できるだけ詳しく、初めて読む人にも分かりやすい言葉で書くようにします。
また、既卒採用の場合は履歴書だけでなく、職務経歴書も提出するのが一般的です。
履歴書や職務経歴は基本事項を埋めていくだけのようにも見えますが、“伝える工夫”をしていないと全く魅力のない書類になってしまうので注意が必要です。
たとえば、バイトで仕事内容を伝える際に「ポリッシャーがけ」と書いても、コンビニでアルバイトをした経験のない人にとっては何の仕事なのか伝わらない可能性があります。
「床を機械で磨く仕事」と言いかえる、さらにその仕事でどのようなスキルを身につけたかなど、どの業界の人にも必ず伝わる表現に置き換えるよう意識しましょう。
TODO⑤書類送付に必要な物とマナーを知ろう
就職サイトによっては、登録の際に作成した履歴書や職務経歴書をそのまま送れる場合もありますが、もちろん自分で書類を提出しなければいけない企業もたくさんあります。
メールでの送付の場合も、郵送の場合も、添え状や宛名書きといった最低限のマナーは把握しておきべきです。
特にフリーターや既卒の場合、やりとりの中でビジネスマナーなどのレベルを判断されます。
TODO⑥面接対策・ロープレも重要
面接対策として想定される質問への回答、自己PRなどを考える他、実際に面接のロープレを行っておくことをオススメします。
ハウツー書籍やインターネットの記事などである程度のことは頭で理解できますが、いざ当日に喋れるか、マナーに即した動きをできるかは別問題と考えたほうが良いでしょう。
自己分析と同じく、面接対策に特化したセミナーや講座を利用しておけば当日の緊張も和らげるはずです。
就職活動の流れを行程順にまとめましたが、いずれも「完了してから次へ進む」と意識する必要はなく、むしろ同時進行でスピーディーに動くことをオススメします。
忙しい中、いま自分が何をすべきか混乱してしまった際などに、この順序を参考にしてください。何かが上手くいかないときは、何かの準備を飛ばしてしまっている可能性が高いからです。
まとめ
就職活動の際、フリーター期間に強いコンプレックスを抱いてしまう方は非常に多いですが、面接では「フリーターであったことの説明」ではなく、「採用側が知りたいことの回答」ができるかが重要です。
そのため、就職活動の中で悩むべきなのは「採用側は何を知りたいのか?」や、「私は何をアピールできるか」などです。
その過程でわからないことがあれば、バイトの先輩や転職エージェントなど、第三者の意見を聞く機会を作ってみましょう。
ただし、社員数を増やさないで運営していこうと考えている企業も多いので、“社員登用
あり“と公言していないところでは、あまり期待しない方がいいでしょう。