転職で異業種を選ぶ際は、未経験なぶん期待が高まる一方で、本当に転職を後悔しないか不安に感じている方も多いでしょう。
今回は異業種でも転職しやすい業種や、面接時の志望動機の作り方など、未経験職種への転職を成功させるヒントをお話します。
- 転職で異業種を選ぶメリット
- 異業種からの転職を受け入れやすい業種は?
- 異業種への転職で響く志望動機の作り方
転職で異業種を選択肢に入れるメリット
マイナビが、転職を経験した第二新卒100人に行ったアンケート調査によると、「職種・業界ともに違う企業に転職した」という回答が61%を占めるという結果が出ました。
業種または業界のみ違う企業へ転職した割合も含めると、全体のうち81%が未経験の職種・業界へ転職したということになります。第二新卒の多くが未経験職種を選択肢に入れる理由として、以下のようなものが考えられます。
入社後のプレッシャーが緩和される
即戦力と認識される中途採用は、業種によっては入社直後に高いスキルを求められるため、同業種への転職に強いプレッシャーを感じる第二新卒の方も多いようです。
未経験職種の場合は採用側も入社後の教育をある程度視野に入れているため、もう一度新卒のような形でスキルを習得していける環境が得やすいことも大きなメリットとなります。
前職のスキルがさらに活かせるケースもある
転職先で前職のスキルを活かす機会があれば、社内の評価が高くなる可能性もあります。例えばIT系企業でSNS運用を学んだ方が、まったくの異業種に転職されたとします。もし、転職先でWEBの強化やSNS運用の話が出たとしたら、経験者であるその人が真っ先に候補として挙がるはずです。
前職での経験が転職先のニーズとタイミング良く合致する可能性もあることから、志望先を同業種に絞らない求職者が増えています。
異業種からの転職を受け入れる業種とは
こちらは、転職サービスDODAが同エージェントサービスを利用した約5,000人のデータを元に異業種転職の実態を集計したグラフです。
異業種からの転職の割合が最も多いのは「商社・流通」
異業種からの転職を受け入れが8割を超えたのは「商社/流通」業界です。「サービス」業界が74.8%、「メディア」業界が68.0%と続いています。
異業種間の転職を多く受け入れているこの3つでは、それぞれ以下のような特徴が見られます。
同業種からの転職が最も多いのは「IT/通信」
異業種からの転職割合が高い業界が多い中で、「IT/通信」は同業種からの転職が58.7%と大きく差が出ました。「IT/通信」は求人倍率が抜きん出て高く、転職市場を通して見ても非常に活発な業界です。人の出入りが多く、培ったスキルを活かせる場所を(他業種と比べると)探しやすいことが影響しているかもしれません。求人数が多いものの異業種からの転職先として選ぶには少し競争が激しい業界と言えます。
異業種からの転職で志望動機はどう話す?面接時の失敗例と対策
異業種からの転職の場合、同業種間の転職に比べると伝え方にやや工夫が必要となります。ここでは志望動機を始め、異業種からの転職の面接で困ったエピソードと対策についてお話ししていきます。
異業種への転職で多い面接失敗例①「志望動機が憧れ止まりになる」
転職を機に憧れの業種を目指す方は非常に多いですが、その際に志望動機の“厚み”で悩むケースもまた多いですよね。実際、即戦力またはポテンシャルに期待を持たれている中途採用が、憧れだけで志望動機を固めることは得策とは言えません。
もし憧れ以外の動機が浮かばない場合は、自己PRの内容をベースに考えてみるのも1つの方法です。そうすれば、あなたの現職での経験や強みが自然と伝わる構成になるため、学生時代まで遡った内容になることも避けられます。
志望動機の考え方・作り方については過去にご紹介しているため、具体的な実践編はこちらの記事を参考にしてくださいね。
- 志望動機は自己PRにもなるように意識
- 必ず現職での経験とリンクさせる
異業種への転職で多い面接失敗例②「前職での仕事内容を上手く説明できない」
職種にもよりますが、入社数年で華やかな業務内容を話せる第二新卒の方は少ないはずです。“話すほどではない”という思考になっている方は、まず“話さないと伝わらない”と考え直すことから始めましょう。
採用側が聞きたいのは前職の全貌ではないので、「メイン業務」「サブ業務」「得意な業務」と分類しながら自分の仕事内容を整理してみましょう。自己紹介で話すべきなのはメイン業務ですが、極端な話、得意な業務だけ伝えられたらいいのです。他のことは職務経歴書でしっかりとまとめておきましょう。
- 自身の仕事内容は他者にわかるよう整理しておく
- 作業的なことも「責任の重み」など視点を変えてみる
異業種への転職で多い面接失敗例③「退職理由の印象が気になる」
このテーマについての過去記事で、退職理由を聞く意図として以下2つを挙げています。
企業が転職理由を聞きたい理由①「すぐに辞めてしまわないか見極めたい」
企業が転職理由を聞きたい理由②「応募者の人格を知りたい」
退職理由が消極的なものであった場合、そこに関連した質問に苦手意識を持ってしまいますよね。このケースに当てはまる方は、採用側が退職理由を聞く意味を知るだけでもかなり対策がしやすくなるはずです。
面接用に聞こえの良い退職理由を新たに作って破綻してしまうことのないよう、企業の意図を理解した上で伝え方を考えてみましょう。この点は、異業種でも同業種でも変わりません。
- 採用側が退職理由を聞く理由を知る
- 企業リサーチをベースに構成を考える
まとめ
志望動機の章でも触れたように、多くの求職者は自身の強みに気づかないまま転職活動に挑んでしまっています。
転職市場における自分の価値を理解すれば、活かせる場所(企業)のカラーも見えてきますし、それが同業種であるか異業種であるかは問題ではありません。
異業種への転職でキャリアを再構築するか、同業種への転職で専門性を高めるか、どちらを選んでもメリットは必ず得られます。
だからこそ、どちらも視野に入れることで転職活動の幅を広げる方法をオススメしたいのです。
「サービス」…同業種・異業種問わず、幅広い業界の経験者を受け入れており、受け入れ先の約6割が人材サービス
「メディア」…サービス業やIT/通信からの転職が多く、営業職または企画・管理系職種として受け入れるケースが中心