第二新卒の場合、面接で一番答えにくいのは転職理由ではないでしょうか。
第二新卒は、入社後数年で退職しているので「勤続年数が短いから何を話しても説得力がない」「かといって嘘を話して誤解されたくない」…想像するだけで不安になりますよね。
今回は、面接で好印象を与える転職理由の考え方についてお話しします。
この記事の目次
第二新卒は「企業が転職理由を聞く意図」を知っておくべき
企業が転職理由を聞きたい理由①「すぐに辞めてしまわないか見極めたい」
採用側はある程度のコストをかけて人材を探しているため、すぐ辞めてしまう可能性のある人は採用できません。
つまり、企業は面接を通して「長く働いてくれる可能性」を感じた人を積極的に採用します。特に転職理由は、その点を探るのに適した話題というわけです。
企業が転職理由を聞きたい理由②「応募者の人格を知りたい」
- 正直か否か
- 他責的(自分以外の人・物・状況に原因があると考える癖)か否か
- 前職における自己評価が高いか否か
転職に至った経緯と話し方の印象は、企業にとって、同じ職場で働く上で良い関係性を築ける人材かを判断するヒントとなるのです。
面接における“退職理由と転職理由の違い”に注意!
退職理由と転職理由は似ていますが、聞く立場である企業にとっては全く別のお話です。退職理由と転職理由の違いを説明できる自信のない方は、志望理由を考える際にも苦戦することでしょう。
退職理由はあくまで、前職を辞めるに至ったきっかけのことを指します。人間関係や給与に不満があったなど、いわゆる退職理由だけを伝えた場合、企業には「うちが採用しても同じ理由で転職する可能性がある」と感じさせることになります。
そこで、退職理由に加えて「転職で実現したいこと(転職後のヴィジョン)」を伝えなければいけません。つまり、退職理由と転職後のヴィジョンが揃って初めて転職理由になるというわけです。そのため転職理由には「御社でないといけない理由(志望理由)」が多少含まれている必要があり、この2点にはある程度の一貫性が求められます。
転職理由を考えるためには、それを構成する「退職理由」と「転職後のヴィジョン」を整理するところからスタートしましょう。
他の転職希望者が転職を選んだ理由は?退職時の“本音”ランキング
上記のデータは、2017年度の1年間に転職活動を行った約8万人を対象とした統計になります。
退職直後は特に“辞めるきっかけ”となった事柄ばかり印象に残っているもので、ランキングを見て改めて思い出す記憶もたくさんあることでしょう。それは、働いている中で多くの不安要素が重なった末に転職を選んでいるためです。
自分が退職を決めた理由を振り返る機会は意外と少ないものですが、これは次の章でご説明する“転職理由の考え方”でも重要なステップとなります。
「給与」「将来性」…転職の理由ランキング上位は変化なし
前年度の順位と見比べると5位まで変動がないことが一目瞭然ですが、実は数年単位で見てもランキング上位に大きな変化はあまり起きていません。
極端な言い方をすれば、多くの転職希望者は同じ理由で退職を決意しているということになります。
このことからも、第二新卒は面接で「退職理由よりも先(転職理由)」の部分で戦っていく必要があることがわかります。
“転職希望者の変化”はランキング5位以降でわかる
ランキング5位までは例年大きな変化が見られない一方で、5位以降には毎年何らかの変化が起きています。
上位5位と比べると母数も少ないため順位変動がしやすいというのもありますが、上位をさらに細分化したような項目も多いため、転職希望者の意識の変化について、細やかなニュアンスの違いを感じとることができる部分とも言えます。
例えば、特に順位が上がった「会社の評価方法に不満がある」は、現在求人倍率が最も高いIT・通信業界の退職者の中でも順位を上げており、2014年度から同業界内で増加傾向を見せていることから、今後も順位が高まっていく可能性があります。
面接で好印象な退職理由を考えるポイント
自分の退職理由と目指すゴールを並べると、ごくごくシンプルなストーリーが出来上がることでしょう。ランキング一位の退職理由を例にすると、以下のような感じですね。
例)
出発地点「ほかにやりたい仕事があるから退職」
↓
到着地点「やりたい仕事に就いて活躍したい」
当たり前のことですが、名作映画も限界まで要約するとこのようなシンプルな構図になるはずです。
“どんな人物”が“なぜ”退職したいと考え、“どのように”会社へ貢献するつもりなのか、そうしたストーリーが見えてきて初めて、他者に聞かせることができる内容になることを意識しておきましょう。
ここからは、その退職理由をスタート地点と考え、最終的なゴール地点、つまり志望理由までのストーリーを整理していきます。
1.「退職理由」を思いつくだけ書き出す
入口を絞った状態でゴール(志望理由)を目指すとなると選べるコースが少なく、考えている途中で行き詰まってしまうこともあります。
先ほども軽くお話ししたように、転職理由を考えることは“前職での自分”を振り返ることでもあるので、まずは退職理由を思いつくだけ全て箇条書きにしてみましょう。
この段階では深く考えず、できるだけ感覚的・感情的に取り組んでみてください。内容を整理するのは、次のステップ以降になります。
2.書き出した「退職理由」をグループ分けする
書き出した退職理由を整理するために、大きな分類で仕分けしていきます。
面接で話す転職理由は、志望理由につながるものである必要があります。そこで、思いついた転職理由を客観的に見直して、志望先の企業で「①解決できそうなもの」「②解決できなさそうなもの(またはわからないもの)」の二つに分類します。
当然ですが、「①解決できそうなもの」に分類された内容が面接で話すべき内容となります。
次のステップに進み内容を肉付けしていく過程で、最も志望理由との親和性が高いと感じた項目に絞っていきましょう。
「②解決できなさそうなもの(またはわからないもの)」も実は重要
面接では「解決できそうなもの」が重要となりますが、後者の「解決できなさそうなもの(またはわからないもの)」のメモも保管しておくことをおすすめします。
“解決できるかわからないもの”は特に大切で、多くの第二新卒が悩む逆質問のヒントになり得る要素です。
3.退職理由をポジティブな言い方に変換する
このステップの目的は退職理由の“見栄えを良くする”ことではなく、“辞めた理由を咀嚼する”ことです。
例えば、「残業時間が多い/休日が少ない」といった理由で辞めた人は、転職に対してどのような希望を持っているのか、いくつか可能性を想像してみましょう。
コツは「〜したい」という欲求の形に落とし込むことです。
語尾が否定形のままだと、解決策(転職後)への繋がりが見つけにくいためです。
例)
「残業時間が多い/休日が少ない」
↓
「スキルアップに充てる時間を確保したい」
「効率的に仕事をして成果につなげたい」
4.退職理由から志望理由を考える
この記事を読んでいる第二新卒の方は、退職理由の結論の部分、つまり転職理由と志望理由の繋がりが浮かばず悩んでいるケースが多いのではないでしょうか。
要素が出揃っているのに文章化できない理由は、自分の目線のみで文章を考えているため、相手が聞きたい部分を想像できていない状態にあると言えます。
試しに、「ほかにやりたい仕事があるから」という退職理由を、以下2つの視点で読みくだいてみます。
「辞めた会社」の視点
- 本当にうちの会社ではその仕事ができなかったのか?
- もともと、その仕事をしたくて入社した結果なのか?
「志望先の会社」の視点
- うちの会社でその仕事をやり切るスキルがあるのか?
- (経験者の場合)なぜうちの会社でその仕事をしたいと思ったのか?
- (未経験の場合)どのように経験不足を補うのか?
自分では納得できる退職理由であったとしても、視点を変えると「聞かないとわからない」部分が出てくることが実感できると思います。
特に、辞めた会社の目線から自分の退職理由を読むことで、必要以上に内容を脚色して破綻するような事態を防ぐことができます。
このステップを踏むことで、第三者に転職理由を聞いてもらう際に考慮するべき点を具体的に想像しやすくなります。また、この過程で“志望先の会社で実現したいこと”も文章化されていくはずです。
転職理由を面接で聞かれた際の回答例
最後に、今回説明した方法に沿った回答例をいくつかご紹介します。キャリアチェンジやスキルアップなど比較的話やすい理由のものではなく、少し伝え方に工夫が必要な退職理由をピックアップしました。
いずれも退職理由のランキング上位のため、ぜひ参考にしてください。
退職理由が「残業時間が多い/休日が少ない」の場合
例)現在の職場では先輩や後輩の退職が続き、会社が持つ案件を3名ほどで回さなければいけなくなり、月に50時間ほどの残業が発生しています。
人員を増やす、業務をアウトソーシングするなどの改善案も出ましたが実現の見込みは立っておらず、目の前の業務に追われて顧客対応がおろそかになる事態まで至ったことにより退職を決めました。
御社では現職での経験を活かしつつ、顧客とのコミュニケーションに重きを置いたサービスをしていきたいと思っております。
退職理由が「給与に不満がある」の場合
例)前職の営業部では入社2年目で後輩数人を指導する責任ある立場を任され、業務内容には非常にやりがいを感じておりました。
しかし、社内での評価が業績(数字)ではなく、年功序列に強く依存しており、今後自分が成長に対するモチベーションを保ち続けられるかという点で不安を感じ、転職を検討しています。
特に御社では明確な評価基準が提示されていること、年齢に関係なく活躍の場が整えられていることに魅力を感じております。
退職理由が「会社の将来性が不安」の場合
例)現在の職場ではDTPデザインを担当しており、紙媒体とWEB媒体の両方に携われる環境には満足しております。
しかし、新規顧客を増やすことに消極的な印象があり、大口の顧客が解約するごとに大掛かりな人事異動が発生している状態です。
そのことについて社員同士が話し合う場が何度も設けられましたが、一部の意見が大きく反映されるため制作現場からの声が通りにくい環境にあり、改善には至りませんでした。
御社が現職と同じ両媒体を扱っており、さらに顧客の新規開拓に力を入れていることを知り、現職での経験を最大限に活かせると感じて志望させていただきました。
まとめ
第二新卒は企業からのニーズが高いにも関わらず、勤続年数などのコンプレックスから面接に臆してしまうことが多いのが現実です。しかし、しっかり対策をしておけば面接はそこまで大きなハードルとはなりません。
当日に実力を出し切るためには、今回お話ししたような情報の整理、また実際に人に話す練習をすることが大切になります。そのため、転職サービスの中には面接の練習をする機会を作っているところもあります。
ちゃんと話すことを考えた上でも面接への不安が拭えないという方は、そうしたサービスの利用も視野に入れてみてはいかがでしょうか。
志望理由≒転職理由=[退職理由+転職後のヴィジョン]