フジ住宅は東証プライム市場に上場している総合住宅メーカーです。本社がある大阪府を中心に、地域に根差した事業を展開しています。
そんなフジ住宅は、差別的な文章が書かれた書類を配布したとして、パート従業員が賠償を求めて裁判を起こしたことでも注目されています。また、この裁判中にブルーリボンバッジの着用禁止命令が発令されたことにより、ブルーリボン訴訟にも発展しました。
尚、ヘイトハラスメント裁判は2022年9月に判決が確定しています。
※当コンテンツはアフィリエイト等を目的として、試供品または取材費をいただいて記事を掲載しています。
この記事の目次
フジ住宅とは
フジ住宅とは、住宅に関するあらゆるニーズに対応してくれる総合住宅メーカーです。1974年に設立して以来、大阪を中心に事業を展開してきました。
「売りっぱなしにしない」「建てっぱなしにしない」をモットーに、地域密着型の経営を行っているのが特徴です。その結果、今では住宅着工棟数が大阪でトップクラスの実績を誇っています。
また社員を大切にしていることでも知られており、健康経営に取組んでいる優良な企業が認定される「健康経営優良法人2023大規模法人部門(ホワイト500)」に7年連続で認定されています。
フジ住宅は社員を大切にすることで、結果として顧客満足度をあげられるという考えを持ちながら、住宅を通して地域貢献をしている企業だと言えるでしょう。
会社の歴史
1974年4月に、創業者である今井光郎さんが不動産販売業を目的として大阪府にフジ住宅を設立したところから始まります。
翌年の1975年には、戸建住宅販売事業を開始しました。このときから、土地の仕入や許認可の取得、設計、建築、販売の一貫体制を備えた事業を確立しています。
約10年後の1986年には、分譲マンション事業を展開しています。さらに、翌年の1987年にはこれまで培ったノウハウを活かして不動産賃貸事業を、1988年には事業用マンションの販売を始めました。
1990年には、大阪証券取引所の市場第二部に上場し、その後も資産活用事業や定期借地権付住宅分譲事業を開始するなど、事業を拡大していきました。
その結果、2003年に東京証券取引所市場第二部に上場し、2005年に東京証券取引所及び大阪証券取引所市場第一部に上場しました。
そして、東京証券取引所の市場区分の見直しにより、2022年には東京証券取引所の市場第一部から、同株式市場の中でも上位の株式市場である「プライム市場」に移行しています。
事業内容
フジ住宅では主に5つの事業を柱として展開しています。
- 分譲住宅事業
- 住宅流通事業
- 土地有効活用事業
- 賃貸及び管理事業
- 建設関連事業
創業当初から築き上げてきた実績やノウハウを活かし、事業を拡大してきました。これらの5つの事業は、それぞれ独自のノウハウを持ちながら他の事業を補完し合っているのです。
このようにフジ住宅は、住宅のトータルクリエイターとして安定した事業を展開しています。
フジ住宅で何があった?裁判・訴訟の概要
設立から着実に事業を拡大し地域に根付いてきたフジ住宅ですが、2015年頃から数年にわたって繰り広げられたヘイトハラスメント裁判とブルーリボン訴訟でも注目されています。
そこで、フジ住宅で起こった裁判や訴訟について詳しくみていきましょう。
ヘイトハラスメント裁判の概要
ヘイトハラスメント裁判は2015年8月に、同社の女性従業員が訴訟を起こした裁判です。
在日韓国人である女性従業員は、民族差別的な文章が書かれた資料を繰り返し配布され、精神的苦痛を受けたとしてフジ住宅と今井光郎会長に合わせて3,300万円の損害賠償を求めました。
一審では、会社側に110万円の賠償が命じられましたが、フジ住宅側は控訴しました。そして2021年の二審でも判決は変わらず、賠償額を132万円に増額する判決が下されました。
その後、最高裁がフジ住宅側の上告を棄却・不受理したことで、2022年9月にこの裁判は終結を迎えています。
ブルーリボン訴訟の概要
ブルーリボン訴訟は、上記の裁判中に裁判長から「ブルーリボンバッジ」を外すように命じられたことから、憲法が保障する表現の自由に違反するとして国に対して、今川会長たちが損害賠償を求めた裁判です。
ブルーリボンバッジとは北朝鮮による拉致被害者の救出を願う意思表示として運動をする際につけるバッジを指します。このバッジは国会でも身に着けている政治家がいるほど、政治家や著名人にも浸透しています。
そのため、今川会長たちは正当な権利だと主張しましたが、着用をしないように求めた裁判長側は、「着用を許してしまうといさかいが起き、訴訟の進行に支障をきたす可能性がある」と反論しました。
ヘイトハラスメント裁判における両者の主張
原告側の主張は、人種差別や民族差別的な言動にさらされない権利があるとし、会社側が職場環境に配慮する義務を怠ったと主張していました。
一方で、フジ住宅側は提訴した従業員個人に向けてヘイトスピーチや人種差別的言動をおこなっていないとしています。
また、原告側は差別的な表現を含む文章が繰り返し配布されたと主張していますが、文章については第三者が書き込んだ差別的なコメントが偶然入り込んでしまったこともあり、さらに差別的な文言が含まれた文章の配布も一度だけだと主張が食い違っていました。
ヘイトハラスメント裁判を支える会との対立
原告側であるヘイトハラスメント裁判を支える会との対立は、今回の中傷文章の件だけに留まらず様々な両者の主張が続きました。
原告側は、2013年以降に女性に対する誹謗中傷が書かれたネットの記事を印刷したものを、企業から多数配布されたと主張しています。また、就業時間中に教科書展示会に動員され、アンケートにて中学校教科書に対して好意的な意見を述べるよう強制されたことで、精神的苦痛を味わったと訴えています。
一方、フジ住宅側は今回の文章に関しては「政治的な意見論評」のためヘイトスピーチではないとしています。また、文章を読むことも強制はしていないため、会長たちの表現の自由を規制してまで、原告に対して法的権利を保護する必要はないとし、両者の意見は対立していました。
裁判所の判断・判決内容
裁判所の判決は、原告勝訴が確定しています。
詳しく内容をみると、文章の配布に関しては女性個人に対する誹謗中傷だとは言えないとしましたが、一方で程度や態様が社会的許容範囲を超えているとも指摘し、その上で違法性が認められるとして原告勝訴の判決が言い渡されました。
ブルーリボン訴訟における両者の主張
女性従業員との裁判中に勃発した、ブルーリボン訴訟における両者の主張もみていきましょう。
着用をしないよう求めた裁判長側は、「着用を許してしまうといさかいが起き、訴訟の進行に支障をきたす可能性があった」としています。
一方で、フジ住宅側は「ブルーリボンバッジは国旗のバッジと同じくらい広く着用されており、政治的活動の意図はない。」としています。また、「着用は生きていく上で不可欠ともいうべき重要な権利であり、法益でもある」とも主張しました。
ブルーリボンバッジの着用が禁止された背景
ブルーリボン訴訟の発端は、ヘイトハラスメント裁判中に原告側が「ストップ!ヘイトハラスメント」と記されたバッジを着用していたことでした。
この行為について、フジ住宅側が裁判所に注意をするよう求めましたが措置がとられることはありませんでした。
そこで次の口頭弁論で、フジ住宅側の支援者が富士山と太陽が描かれたバッジをつけて入廷したところ「メッセージ性のあるバッジの使用は認められない」とし、裁判長が双方にバッジの着用を禁止しました。
その後の口頭弁論では双方の支援者が対象のバッジを外しましたが、フジ住宅側がブルーリボンバッジを着用していたため、原告側がその着用をやめるよう求めました。そこで裁判長が、フジ住宅側にブルーリボンバッジを外すよう指示したのです。
こうした背景により、その後の裁判においても一貫してブルーリボンバッジの着用が禁止されました。
裁判所の判断(判決)
2023年5月31日に大阪地裁にて、フジ住宅側の主張を認めず違法性はないとして請求を却下しました。
判決では、裁判長には「法廷警察権」があるため、法廷の秩序を維持するための対応が認められていると指摘しました。
ブルーリボンバッジの着用が、女性従業員側から「民族的主張の意思表示だと理解された」と認定し、着用を禁止する命令は妥当であると結論づけています。
判決後にフジ住宅が発表したコメント
フジ住宅は裁判の判決後、主張が受け入れられなかったことは極めて遺憾だとコメントしました。
判決において、社員個人に対しての差別的な扱いがないことは認めているにも関わらず、侮辱的表現や今回の訴訟批判の表現が含まれる文章の差し止めを認めたことは、今後において表現の選別や過度な言論の委縮を招きかねないとしています。
また、今後も変わらず経営理念に沿って社員や社員の家族、顧客、取引先、株主、地域社会のため、ひいては国家のために経営していくとコメントしています。
フジ住宅の労働実態とは?社員の評判口コミ
裁判で注目を集めたフジ住宅ですが、実際の労働実態はどうなっているのでしょうか。
ここでは、社員の評判口コミを紹介します。
思いやりに溢れている会社
【口コミ】
こんなこと聞いてもいいのかな…と思いつつ、質問した際も、「聞いてくれてありがとうございます。」と質問した側にも関わらず御礼を言って頂けるほど快く教えて下さるので、わからないまま仕事を進めることがないです。教えて頂いた分もっと成長したいという気持ちになります。本人以上に本人の家族のことを考えてくれる会社。引用元:https://job.mynavi.jp/25/pc/search/corp58125/obog22005538/obog.html
社員を大切にしている社風が浸透し、社員同士もお互いに敬意を持って仕事をしていることが分ります。
快く教えてもらったから、次は自分も後輩に丁寧に教えようとするため、良い循環が生まれ、会社として思いやりに溢れていくのでしょう。
聞きたいことが気兼ねなく聞ける会社
【口コミ】
「聞けばいいだけ、言えばいいだけ」の考え方です。
私は学生時代ホテルでアルバイトをしていましたが、聞きたいことや教えてほしいことがあってもなかなか聞けないという事が多々ありました。ですがフジ住宅ではそれが無く疑問に感じた点は自分が理解できるまで丁寧に教えて頂くことが出来ます。新入社員でもドンドン質問できる環境は他社とは違うフジ住宅の魅力だと思います。また、仕事上わからない点があっても自身が100%理解できるようになるまで何度も質問させて頂くことができる環境が整っている為、不安を一人で抱え込むことがありません。
そうした社風の下で働けていることが仕事のやりがいになっています。引用元:https://job.mynavi.jp/25/pc/search/corp58125/obog22004592/obog.html
聞きたいことがなかなか聞けないのは、自分の成長や会社全体の成長にもつながりません。このような悩みを抱える若手社員は多いのではないでしょうか。
しかし、フジ住宅では、「聞けばいいだけ、言えばいいだけ」の考え方のため、社員が気持ちよく働きながら、会社全体で成長できる会社であることが分ります。
親しみやすく、誠実で、明るい会社
【口コミ】
入社の決め手は、沢山ありますが、最後は社員のみなさんの人柄でした。
説明会から最終面接までにお会いしたフジ住宅社員のみなさんは、元気でイキイキされていました。弊社以外にも、おそらく多くの企業の説明会、面接を受けられると思いますが、いい意味で大阪らしい、和やかな雰囲気で面接してくださったのは弊社だけでした。
結果的に私の伝えたい事や自分を表現でき、入社後もイメージ通りでギャップを感じる事は全くありませんでした。フジ住宅は理念に則り、ウソ偽りのない誠実な会社であることです。ですので、自社の商品を自信を持って広告出来ております。
世の中には残念ながら、利益の為に暮らしに大切な部分が疎かにされた住まいもございます。改めて当社は、経営理念通りに人々や社会に寄与する、本当に長く住まえる家づくりをしているなと働きながら感じております。
引用元:https://job.mynavi.jp/25/pc/search/corp58125/obog22004583/obog.html
社員の人柄が入社の決め手になるほど、どの社員も明るく生き生きと働いていることが分ります。またこの口コミからは、良い商品を提供しているという誇りを持ちながら仕事ができていることも伝わってきます。
商品に自信を持っているからこそ、その良さが顧客に伝わり確かな実績を積んでいるのでしょう。
フジ住宅の社員の評判口コミまとめ
フジ住宅の社員からは、同僚や先輩社員に対する良い口コミが多く、思いやりを持って働ける環境であることが分りました。
「聞けばいいだけ、言えばいいだか」という考え方も浸透しており、若手が伸び伸びと成長できる環境も整っているようです。
人を大切にする社風によって、社員の満足度が高い会社であると言えるでしょう。
社員から評判の「人」を大切にする社風
社員から評判である「人」を大切にする社風は、「社員のため、社員の家族のため」という経営理念からきています。
フジ住宅では働く人が幸せでなければ、顧客にも心から喜んでもらえないという考えを持っています。また、社員や社員の家族だけでなく、顧客や取引先、株主のためにも尽力している会社です。
就活生・求職者からフジ住宅が選ばれる理由
人を大切にするフジ住宅は、多くの就活生や求職者から評価されています。
ここでは、就活生や求職者からフジ住宅が選ばれる理由について解説します。
ストレスがない環境で働ける
「聞けばいいだけ、言えばいいだけ」の考えがあるため、「聞きたいのに聞けない」「十分に理解できなかったから失敗した」などというストレスがありません。
業務上の問題や疑問だけでなく、悩みやストレス、不安などプライベートも含めて相談できる環境が整っています。
360度査定による公平な評価
上司が部下を評価する通常の人事評価ではなく、360度査定による公平な評価をおこなっています。全社員が上司や同僚、部下、他部署の社員など全ての人を対象に評価するシステムです。
社員を大切にしているフジ住宅だからこそ、「頑張っている人にはきちんと評価をしたい」というシステムになったのでしょう。
顧客第一主義の営業方針
利益優先ではなく、顧客第一主義の営業方針を掲げています。「利益はあくまで手段で、真の目的はお客様に心から喜んでもらうこと」としています。
いくら利益がある場合でも結果として顧客の不幸につながるならば、無理に売り込むことはしません。この徹底した考えがあるため、社員は顧客のためにという強い思いと誇りを持って働けるのでしょう。
上場企業ならではの安定経営
人を大切にしているフジ住宅だからこそ、「会社を潰さない」という強い信念があります。会社が潰れるということは、社員やその家族、顧客、取引先に多大な迷惑をかけるためです。
そのため、業績向上の原動力となる人財の成長のために育成に尽力しています。このような経営方針と上場企業の強みを活かして、安定した経営をおこなっていると言えるでしょう。
まとめ
フジ住宅は、社員やその家族など人を大切にしており、人のためや社会のためにという強い信念を持っている会社です。
社員の口コミ評判では共に働く社員に対する良いコメントが多くみられたことからも、会社全体に「人を大切にする」という文化がしっかりと根付いていることが分かりました。
また、ヘイトハラスメント裁判やブルーリボン訴訟においは公式HPに「訴訟・裁判に関するQ&A」を掲載し、裁判について寄せられた質問にも誠実に回答しています。
今後もフジ住宅では、ステークホルダーのための経営を行い、人々により良い住まいを提供してくれるでしょう。
会社概要
商号 | フジ住宅株式会社 |
創業 | 昭和48年1月22日 |
設立 | 昭和49年4月19日 |
代表者 | 代表取締役社長 社長執行役員 宮脇宣綱 |
本社所在地 | 〒596-8588 大阪府岸和田市土生町1丁目4番23号 |
資本金 | 48億7,206万円 |
従業員数 | 910名(連結1,247名)※パート社員含む |
免許 | 宅建免許 国土交通大臣(13)第2430号 |
許可 | 建設業許可 国土交通大臣 許可(特-4)第26825号 |
登録 | 一級建築士事務所登録 大阪府知事登録(チ)第12796号 |
本稿では、フジ住宅の裁判の結末や訴訟に発展した背景などについて調査しました。
また、フジ住宅の労働実態に迫るべく、社員の評判口コミや社風などについても紹介します。