経団連が就活ルール廃止!学生や中小企業と大企業の影響は?歴史を含めて解説!

ガッツポーズをする就活生と採用担当者 転職の知識

2018年10月9日に日本団体経済連合会(以下経団連)は、定例の記者会見において、「2021年度以降に入社する学生を対象とする採用選考に関する指針を策定しない」旨を発表しました。

夜のニュース番組などで繰り返し報道されていたので、ご存知の方も多いと思います。この就活ルールの廃止が学生や企業にどのような影響を及ぼすのかを解説していきます。

今までの就活ルールと今回のルール廃止について

RULEと書かれたプレート
そもそも就活ルールとは何のためにあったのか、今まではどのようなルールだったのか、今回のルール廃止はどのようなものなのかをここでは解説していきます。

①就活ルール歴史を振り返る

現在とは違い、1900年頃は大学卒業後に就職活動を行い、卒業直後の4月から働くようなシステムではありませんでした。

人手不足の影響から早く学生を囲みこみたい企業側の思惑から在学中の学生と接触するようになり、大学卒業前に就職が決まる形に変貌していきました。できるだけ多くの学生を取りたい、できるだけ優秀な学生を取りたい企業側は、どんどん採用の時期を早めて行きました。

1929年に大手企業の重役が集まり大卒の採用は卒業後に行う事とする「卒業後選考の協定」が始まりました。これは、学生が卒業した3月から採用試験を行うという企業間の協定です。しかし、この「卒業後選考の協定」を結んだ企業ですら卒業前に学生と接触し採用するなど、守られていませんでした。

そこからずるずると卒業前の1月から選考を開始する協定が結ばれましたが、学生を囲いたい企業の抜け駆けが多すぎ、1935年に廃止されました。

就職協定とは

この選考開始の早期化に懸念を抱いた政府は、1953年に企業と大学に通達という形で介入をします。この通達を受け、「採用選考の時期を卒業年度の10月1日以降とする」という事が政府、企業で合意されます。これが「就職協定」の始まりと言われています。

この協定には罰則がなく、破っても処分を受ける事はありません。そのため人手や優秀な学生が欲しい企業はどんどん協定破りをし、形骸化した協定でした。

その後1976年には「卒業年度の10月1日より会社訪問解禁、11月1日に選考開始」1986年には「卒業年度の8月20日より会社訪問解禁、11月内定開始」など複数の変更を経ましたが、結局破る企業が多すぎて1997年にこの「就職協定」は廃止されます。

倫理憲章とは

「倫理憲章」の時代に移ります。「倫理憲章」の中身は「正式な内定日は卒業年度の10月1日以降とする」との定めを決めました。この「倫理憲章」も実質的には破る企業が多く、有名無実化したのが現在までの歴史です。

②今回の就活ルール廃止の経緯

2016年に政府は、大学生ができるだけ勉強に集中できる期間を長くするため、就活の時期を繰り下げてもらえるように経団連側に申し入れをします。

この申し入れを受け経団連は、就職活動の解禁時期を「大学3年の3月1日以降」選考の開始時期を「卒業年度の8月1日以降」とする指針を発表しました。この発表も混乱を招き、またルールの改正をするべきなどの意見が多数でました。

歴史は繰り返すもので、この指針を破る企業も少なくありませんでした。指針を守る企業と守らない企業があるので、一番迷惑を受けたのは学生である事は言うまでもありません。このような背景から、今回の就活ルール廃止に至ったのではないかと推測されます。

③強制力を持った就活ルール作りへ

就活ルール廃止の経団連の発表を受け政府は10月9日の定例の内閣官房長官会見(菅内閣官房長官が公務のため野上内閣官房副長官が代理)で、「政府として、学生の不安を早期に解消する観点から、関係者が議論する場を設けるなど適切に対応していく」と述べました。

企業側、大学側からの聞き取りを行い、政府主導で就活ルールを設定をしていく事になりそうです。経団連や大企業の寄り合いで協定や指針を取り決めても、罰則がないため協定破りが行われます。今後は罰則や違反企業の公表など強制力を持ったルールが求められます。

このように大企業主導で行われてきた就活のルール作りが終わります。今後は政府主導で企業側も大学側も納得できるルール作りになって行くでしょう。どこまで強制力をもった就活のルールを作れるかが今後の課題です。

今後の就活ルールの変化

面接の様子

今回の経団連の就活ルール廃止を受け、企業側の採用、学生側の就活がどのように変わっていくかを説明していきます。

今回のルール変更で大企業への影響は?

このルール廃止によって、大企業は青田買いをどんどん進めていく事になりそうです。学生時代からアルバイトで採用し、そのまま就職という形も増えていくと予想されます。

生産年齢人口が減っていく時代に突入している現在、大企業も人手不足になる事から、これまでの採用ルールを一応守っていた企業も学生の囲い込みに力を入れていく事になるでしょう。

人手不足時代厳しくなる中小企業

大手に行きたい学生と優秀な学生や人手が欲しい中小企業のミスマッチは今後さらに拡大していくことが予想されます。

現状ですら人手不足、学生が来てくれないと言っている中小企業はこのルール廃止によってさらに厳しくなることでしょう。

自社の魅力をどれだけ発信できるかが中小企業の生き残りの明暗を分ける事になりそうです。待遇の改善はもちろん、働きやすさ、やりがい等をどれだけ学生に伝えられるかが勝負になりそうです。

人手不足による倒産、後継者がいないための黒字倒産などがまずます増えないためにもこの期に画期的な改善が求められます。

多様化が進む学生の就活

これまでの度重なるルール変更の煽りを受けてきた学生側への影響も大きなものになるでしょう。

今まであった一応のルールが廃され、就職活動をする時期が大学入学時からとなる恐れもあります。学生の本分である勉強の時間が減る事が懸念されます。

他方、就職活動の自由化、新卒一括採用からの脱却も期待されます。「大学1年から就職活動をする人」と「卒業単位をしっかり取得してから就職活動をする人」、「卒業後就職活動をする人」と多様化していくと予想されます。

現在の売り手市場は、生産年齢人口の減少からさらに加速していくことになるでしょう。学生が自主的にどのタイミングで就活を始めるかを決められる時代になり、ますます計画性をもった行動する事が求められます。

終わりに

桜並木に立つ2人の就活生

今回の経団連の就活ルール廃止で企業側、学生側に与える影響は少なくありません。

政府主導による明確なルール作りが求められる一方、企業側の新卒一括採用からの脱却、学生側の就職活動の多様化という新しいステップに進んだと言えます。

懸念の声が挙がる一方、守られていない形骸化したルールなのでいらなかったという声も少なくありません。採用試験の早期化が懸念されますが、自由な就活ができるという学生側へのメリットも産まれました。

今回の就活ルール廃止で一番影響を受けるのは、中小企業です。学生とのミスマッチ解消への施策を今から取らないとこの新しい時代を生き抜くのは難しくなります。

大企業には早期の囲い込みが過熱し、やはり一応の就活ルールは必要だったとの声が出てこないよう学生の学業への配慮も求められます。

※参考
http://www.keidanren.or.jp/speech/kaiken/2018/1009.html 
経団連中西会長定例会見要旨

https://www.kantei.go.jp/jp/tyoukanpress/201810/9_p.html
平成30年10月9日野上浩太郎内閣官房副長官の会見

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